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選考に疑義も筑波大学長再任 永田氏が所信表明会見 大学改革をリード - 東京新聞

学長選考で揺れた筑波大=つくば市で

学長選考で揺れた筑波大=つくば市で

 筑波大(つくば市)で学内教職員の有志が、学長選考の手法に疑義を唱える事態となった学長選で、任期上限の撤廃で再任が決まった永田恭介学長(67)が二十一日、所信表明会見に臨み、今後の大学運営について語った。永田学長はこれまで大学改革をリードしてきた一方で、「軍事研究を認めない」との方針を示しながら、防衛省の研究費助成制度に応募したことに学内外から批判もあった。 (林容史、出来田敬司)

■10年単位

 「米国は、十年単位でやらないと大学が変わらないことを知っている」

 永田学長は会見で、学長任期の上限を撤廃し、再選されたことについて、そう正当化した。国内の大学の学長任期が諸外国と比べて短いとし「大学の教育研究を進めるため、再考する必要があると思う」と話した。

 教職員からの意見聴取で、もう一人の候補だった生命環境系長の松本宏教授(65)に水をあけられたことに「一部、批判をいただいたのは確か。不満はしっかりと受け止めて直していかなければならない」と応じた。その上で「責任ある先生方とじかに話して、それを教職員たちに伝えてもらうという根本的なところに立ち返らないといけない」と話した。

■引き継ぎ

 永田学長は一九七六年、東京大薬学部卒。分子生物学が専門で、国立遺伝学研究所の助手や東京工業大助教授などを経て、二〇〇一年に筑波大教授に就いた。学長就任は一三年四月。当時の山田信博学長が脳梗塞で倒れ、その後を引き継ぐ形で学長に就任した。

 学内組織などの改革に注力し、最近では四月に、大学院の八研究科と八十五専攻を三学術院と六研究群に再編、複数の教員が専攻の壁を越えて学生を指導できる仕組みをつくった。

 一方、文部科学省が今月十五日、世界最高水準の教育研究活動が見込まれる国立大として筑波大を「指定国立大学法人」に指定したと発表。ほかに東大など八大学が指定されており、国から規制緩和などの支援を受けられる。理由について「学長の強いリーダーシップが発揮され、目指すべき方向性や取り組みが全学的に浸透していると評価できる」とした。

■国策協調

 ただ、過去には国策への協調姿勢が非難の的となったことも。一九年十二月、防衛省が助成する「安全保障技術研究推進制度」に筑波大の研究が採択された。研究は新素材のカーボンナノチューブを使って、衝撃に強い素材を開発するのが目的だった。

 筑波大が一八年に発表した「軍事研究を行わない」との基本姿勢を翻したと、学内外から反発を招いた。だが、当の永田学長は、軍事研究の定義を「他国への攻撃につながる研究」とし、「自衛のためなら問題ない」との持論を展開した。

 学長選を問題視する「筑波大学の学長選考を考える会」は、永田学長について「トップダウン型の管理や統制」と批判し、「永田氏には学長にふさわしいリーダーシップなどない」と指弾する。

 会に参加する人文社会系の吉原ゆかり准教授(英文学)は「防衛省の助成制度の応募についても、教職員に事前の相談もなく、新聞報道などで知るだけだ」と永田学長の手法を疑問視する。

■大学自治

 そもそも、筑波大は、政治主導で設置された経緯から、国策になびきやすい体質があるとの指摘もある。

 筑波大は一九七三年、つくば市に研究学園都市をつくるという国策に基づき、設置された。佐藤栄作内閣時の閣議で、前身の東京教育大を東京から移転させることが決められた。

 移転を巡っては、学部ごとに激しい反発もあったことから、七三年に改正された国立学校設置法(二〇〇四年に廃止)は、筑波大だけに関する条文を設け、組織の形態を細かく規定した。強い「縛り」をかけ、通常大学で学部が持っている教員の人事を「人事委員会」に委ねることが盛り込まれた。学内外からは「学問や思想の自由が奪われ、大学の自治が失われた」との指摘もあった。

◇学生の反応 「東京高検検事長の問題に似ている」

 永田恭介学長の任期延長を巡り、波紋を広げた筑波大学長選についてキャンパスに集う学生に聞いた。

 理工学群四年の男子学生(22)は「東京高検検事長の定年延長問題に似ている。どっちが悪いとかではなく、学長の任期を延ばそうとした側が勝ったということ。どこの世界でもある話なのでは」と冷めた様子で受け止める。

 体育専門学群四年の原健人さん(23)は「今の学長はネット上で顔写真を変えられるなど、いい意味で学生にいじられている。会って話をしたわけではないが、悪い人ではなさそう」と印象を話す。

 芸術専門学群一年の女子学生は「親しみやすい、柔らかなイメージだったのに、任期を延長してニュースに取り上げられてびっくり」と驚いた表情を見せた。

 日本語・日本文化学類一年の女子学生(19)は「新型コロナで入学式がなかったので、まだ直接、見たことがない」、男子大学院生は「学生に学長を選ぶ権利はないし、関係ない」とそっけなかった。

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