中国の学術機関が米国の企業・大学との提携を利用して自国の経済・軍事的目標を推進しようとしているとして、米当局は監視を強化している。
緊迫する米中関係の中でも大学に監視の目が向けられている。米当局は研究の公正性や知的財産権の窃取を警戒し、米国の学術機関と提携する中国側のパートナーを調査するようになった。
米当局者によれば、海外から膨大な量の専門知識を収集してきた中国の情報機関は一段と標的を絞るようになった。自国の大学で研究中の技術や中国政府が優先課題に掲げる技術について、遅れを埋めるような提携を求めるようになった。
ジョン・デマーズ司法次官補(国家安全保障担当)は「中国は手に入れたいものを一段と選別するようになった」とし、「情報当局者が研究の未解明部分の獲得を指示される例が増えた」と語った。
米検察当局は昨年11月、効果的な肥料散布のために土壌の栄養レベルを観測する農家向けモニターのソフトウエアに関する知財権を盗んだとして、除草剤・農業バイオ技術大手の米モンサント(現バイエル)の元エンジニアを起訴した。検察は、被告が中国科学院南京土壤研究所で職を得る代わりにプログラムを盗んだとしているが、被告は無罪を主張している。
起訴状によれば、南京土壌研究所は2015年に中国政府が農業機械の生産性を10年以内に向上させると発表してから、このソフトに関心を寄せていた。研究所はコメントの要請に応じなかった。
米中両政府は先週、中国の貿易慣行を巡るトランプ大統領の懸念を和らげるような対策を巡り合意した。だが、中国による米国の機密技術や戦略的な情報の取得方法をはじめとするやっかいな問題は未解決のままだ。
中国の大学が警戒されるようになったのは、習近平国家主席の提唱する、民間の技術力を活用して国防能力の強化を目指す「軍民融合」によって、民間が人民解放軍との共通目標に縛られているためだ。
米教育機関も米軍と連携する場合はあるが、中国の大学のように協力を強制されているわけではない。マイク・ポンぺオ国務長官は先週のシリコンバレーでの政策演説で「中国の企業と研究者は中国法の下、従わない場合は罰を受ける条件で中国軍との技術共有を義務付けられている」と話した。
またエドワード・ラモトウスキ国務副次官補は先の上院公聴会で「中国共産党は自国の大学が軍民融合への取り組みの最前線に立っていると宣言した」と証言した。
中国共産党は大学の思想統制も強化している。昨年12月には上海の名門・復旦大学を含む3大学が、独立性より共産党支配への絶対的忠誠を優先するように憲章を見直した。これに学界からは反発の声が上がっている。
中国国防省と工業情報化省はコメントに応じなかった。国営メディアは、米国が知財権の窃盗疑惑を政治の道具に利用していると主張している。習主席は18年の演説で、軍民融合は「新時代のための強力な軍隊という党の目標の達成に必要な選択だ」と語った。
米検察は19年、中国の大学が米国の機密技術や情報の不正入手に中心的役割を果たしたとして少なくとも4件を立件した。
米国務省の助成でまとめられたリポートによれば、中国の研究機関は自国の国防部門との関係を拡大している。アレックス・ジョスケ研究主任は、中国の大学と国家国防科技工業局との契約が増えたことを重視している。
オーストラリア政府が創設した超党派シンクタンク、豪戦略政策研究所(ASPI)のアナリストであるジョスケ氏によれば、1999年以降の契約101件のうち57件は過去5年で交わされている。契約には清華大学や北京大学といった一流校のほか、地方の大学も関わっている。
米検察は18年に、中国に対潜戦技術を不正輸出する計画に加担したとして中国の「国防七子」に数えられる西北工業大学を起訴した。同校は国務省が助成するデータベースで「非常に高リスク」に指定されている。商務省の輸出先ブラックリストにも掲載されている。
西北工業大学のウェブサイトによれば、ミズーリ大学カンザスシティ校(UMKC)のケビン・トルーマン学部長は昨年12月に西北工業大学ソフトウエア学部を訪問した。UMKCの広報担当者は、トルーマン氏が数年にわたり西北工業大学で一般的な就職説明をしてきたと説明した。ただウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の問い合わせを受けて、法執行機関の指導を求める意向を示した。
西北工業大学をはじめ、この記事に校名の挙がった中国の大学はいずれもコメントに応じていない。
米検察は昨年、タービンに関わる米ゼネラル・エレクトリック(GE)の企業秘密を瀋陽航空航天大学などのために盗んだ経済スパイ容疑でエンジニアを起訴した。その数カ月後には南イリノイ大学(SIU)が瀋陽航空航天大学との国際共同学位プログラムを発表した。
SIUの広報担当者は、政府や国際機関のリストでは瀋陽航空航天大学との連携は制限されていないと述べた。
米国家防諜安全保障センター(NCSC)のディレクター、ウィリアム・エバニナ氏は「最近変わったのは、中国の大学が世界級の機関になったことだ」とし、そのため「世界各地の大学や企業にとって提携先として、中国の大学の魅力が増している」と指摘した。
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January 22, 2020 at 06:56AM
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