新型コロナウイルスの影響により、「全国の小中学校一斉休校」という異例の事態が発生している今、オンライン授業の是非について、議論が過熱している。教育(エデュケーション)分野に、IT技術(テクノロジー)を活用しようという取り組みを示す概念、「エドテック」。一体、どのような効果を期待できるのだろうか? ※本連載では、難関資格受験予備校フォーサイトの代表取締役・山田浩司氏の著書『Ed Tech エドテック』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、解説します。
カリフォルニア大学の受験者数を上回る人気
2014年、アメリカのサンフランシスコに、固有のキャンパスを持たずに講義はすべてオンラインで行うミネルバ大学が誕生しました。
それだけであれば、忙しい人の学位取得のための通信制大学が新たに一つ増えた程度のニュースにしか思われなかったでしょうが、この新しい大学は瞬く間に大学業界の台風の目となりました。
まず、ミネルバ大学は通信制大学ではありません。
講義はすべてオンラインで行いますが、それは大学教授の十年一日の退屈な講義を録画したものを見るのではなく、双方向通信を利用した、学生同士のディスカッション中心の刺激的なゼミです。そして、学生は自宅から講義に参加するのではなく、それどころか同じ場所で一緒に寝起きして食事をすることを求められます。実はミネルバ大学は全寮制の大学なのです。
固有のキャンパスがないのに全寮制とはこれいかに、と思われるかもしれませんが、ミネルバ大学の寮は一定の土地にあるわけではありません。
4年の大学生活の間、学生の寝泊りする寮は時期に合わせて世界各国の7都市を移動します。グローバル時代に十分に見聞を広めるために、世界各国で実際に暮らすというのが、ミネルバ大学が学生に求めることなのです。
ここまでの説明だけでもかなりユニークな大学に見えます。それは創立者の経歴を見れば納得できるかもしれません。
ミネルバ大学創立者のベン・ネルソンさんは、シリコン・バレーの投資家です。ITベンチャーのスナップ・フィッシュで10年間財務担当取締役を務め、次の仕事として「世界一の大学をつくる」ことを決意します。
開校初年度には約2500人が受験し、30名が入学しました。それからわずか4年後、2017年には世界169ヵ国から2万人が受験する大学に成長しました。うち海外からの受験者数が1万7000人です。この数字はカリフォルニア大学バークレー校すらも上回ります。今やミネルバ大学は、ハーバード大学やスタンフォード大学を蹴ってでも行きたい大学だといわれています。
それだけの人気なのに少数精鋭ですから、ミネルバ大学の合格率はわずか1.9%。授業がすべて20人以下のゼミ形式で、世界各国の行政機関やNGOとの協働プロジェクトやインターンがプログラムに埋め込まれているため、多くの学生をとれないのです。
その一方で、キャンパスがないために、ミネルバ大学の学費は年間約150万円と、ほかのアメリカの大学と比べて格安です。
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March 11, 2020 at 09:00AM
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ハーバード大学を「蹴ってでも行きたい」、ミネルバ大学の謎(幻冬舎ゴールドオンライン) - Yahoo!ニュース
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