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頼れる、試せる 生活者目線のセレクトが光る道具店「LADER」 - 朝日新聞デジタル

台所道具の老舗が多い京都ですが、プロ向けではなく私たち生活者と同じ目線で、見た目と機能を兼ね備えた日用品をセレクトしている店があります。今回訪ねた「LADER(ラダー)」は、暮らしの道具選びを助けてくれる台所道具と日用品の専門店。この夏開店11周年を迎え、二条城エリアの散策に外せない人気店となりました。なじみの商店に「こんなのない?」と相談するような気分で訪ねたい、現代の道具屋さんです。

【動画】試作中のオリジナルの台所道具。くるくる回す動作が気持ちいい(詳細は記事後半で)

暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、京都の素敵なスポットをご案内しています。

家事や暮らしの「つまずき」をクリア

持ち手が熱くならず、フックなどに掛けて収納できる「ステンレス三層鋼 行平鍋」。ぴたりと合うフタは別メーカーで似合うものを探したそう
持ち手が熱くならず、フックなどに掛けて収納できる「ステンレス三層鋼 行平鍋」。ぴたりと合うフタは別メーカーで似合うものを探したそう

フライパン、行平鍋(ゆきひらなべ)、食器や調理器具、洗濯物を干すピンチハンガーから粘着テープカッターまで。どこででも手に入る台所道具や日用品のように見えて、「LADER」に並ぶ品々はひと味違います。すっきりと気持ちの良いデザインに、手にふれて感じる重さや扱いやすさ。同時にふと浮かぶ「持ち手は熱くならないのかな?」「洗濯バサミがからまるのでは?」といった疑問に、すかさず答えるかのように、品物の一つひとつに添えられたカードにその解が書いてあります。

食器や調理器具などどのアイテムにも、素材や使い勝手について実感のこもった文章が添えられている
食器や調理器具などどのアイテムにも、素材や使い勝手について実感のこもった文章が添えられている

「いち生活者として、自分が普通にあったらいいなと思うもの、手持ちの日用品で気に入っていなかった点をクリアするものを探して、並べてきました。台所道具や日用品は、買う前に試したり、生活に取り入れたりできないものが多い。だからこそ自分の実感を伝えられればと、カードやオンラインに使用感を書いています」

店主の橋本司さん。カウンター奥にもキッチンがあり、簡単な作業ならテストできるようになっている
店主の橋本司さん。カウンター奥にもキッチンがあり、簡単な作業ならテストできるようになっている

そう話すのは店主の橋本司(つかさ)さん。店に並ぶ品はすべて、一度橋本さんが実生活に取り入れ、使い心地や耐久性、毎日目にして心地よいデザインや納得できる価格であることを条件に吟味したもの。生活者の気持ちを代弁するにとどまらず、多くの人が「まぁ仕方ないか」とあきらめてしまうところまで、妥協せず選んでいるから、店を一周するだけで次々と日常の小さなつまずきを解決する品が見つかります。

実際に使って納得、行きつけの商店のような存在

実物を使って試せるテストシンク。ピーラーで野菜の皮をむくなど、食材を持ち込んで使用感を試すことができるほか、コーヒー豆やチーズなど一部テスト用の食材が用意されているものもある
実物を使って試せるテストシンク。ピーラーで野菜の皮をむくなど、食材を持ち込んで使用感を試すことができるほか、コーヒー豆やチーズなど一部テスト用の食材が用意されているものもある

店の一角にしつらえているのはテストシンク。調理器具や食器洗い用のスポンジ、ドリップポットの水切れまで、実物を使って試すことができます。特に、使う人の動作との相性を問われるコーヒーのドリップポットや、レストランで見るようなふわふわのチーズをおろせるグレーターなどは「購入前に試せるなんて」と人気。テストシンクやレジカウンター奥のキッチンは、「収納のアイデアの参考になれば」という橋本さんの思いの現れでもあります。

ドリップポットは特に試したい人が多いアイテム。お湯の量の調節しやすさや手なじみの良さなどを確かめられる
ドリップポットは特に試したい人が多いアイテム。お湯の量の調節しやすさや手なじみの良さなどを確かめられる

「店を始める前、おしゃれなお店や老舗がたくさんある中で、何ができるだろう? と考えたときに、商品を実際に試せる店があったらいいなと思いました。小さなところまで譲れない性格で、逆にいうとそれしかできないので、こうして文章で伝えたり、試せる場を作ったりしています」

食器類は、作家ものではなく、気軽に買い足せて扱いやすいメーカーもので、デザインの良い品がそろう
食器類は、作家ものではなく、気軽に買い足せて扱いやすいメーカーもので、デザインの良い品がそろう

そう話す橋本さん。自身の生活の中で「あったらいいな」と思うものを、メーカーや作り手に依頼して形にすることもコツコツと実現中。早ければ今年中には、木製のごますり器をオリジナルアイテムとして発表予定です。

「すり鉢は重いし、飛び散ると掃除がおっくう。コンパクトで飛び散らず、キッチンに出しっぱなしでも気にならないデザインのものを作りたくて、ようやく形になってきました」

パッキングをモチーフにしたオリジナルの手ぬぐいと、構想やデザインから手がけた木製ごますり器。コンパクトでミニマルなデザインで、ごまが周囲に飛び散らない(冒頭動画参照)
パッキングをモチーフにしたオリジナルの手ぬぐいと、構想やデザインから手がけた木製ごますり器。コンパクトでミニマルなデザインで、ごまが周囲に飛び散らない(冒頭動画参照)

職人のいる老舗の道具店ではないけれど、橋本さんの視点はまるで、職人で、編集者で、デザイナーのようです。けれど、それらである前にまず、私たちと同じ目線の生活者でいてくれる。その安心感が、行きつけの商店のように「ここで選べば大丈夫」と思わせてくれる理由に違いありません。

二条城にほど近い路地。隣はカフェ「CLAMP COFFEE SARASA(クランプコーヒーサラサ)」、観葉植物などを扱う「cotoha(コトハ)」の入った建物で、合わせて巡りたい
二条城にほど近い路地。隣はカフェ「CLAMP COFFEE SARASA(クランプコーヒーサラサ)」、観葉植物などを扱う「cotoha(コトハ)」の入った建物で、合わせて巡りたい

■ LADER https://lader.jp/

フォトギャラリー(クリックすると、写真が次々とご覧いただけます)

BOOK

頼れる、試せる 生活者目線のセレクトが光る道具店「LADER」

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が2019年6月7日に出版されました。&Travelの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。1320円(税込み)。

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