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フィアット・ドブロは、道具として使い倒したい人におすすめしたい欧州MPVの新キャラクター! 【フィアット・ドブロ試乗記】 - MotorFan[モーターファン]

シトロエン・ベルランゴ、プジョー・リフターの兄弟車でもあるフィアット・ドブロには、フィアット流のよりカジュアルなスタイリングとコンセプトが与えられた。若いユーザーにとってよりフレンドリーな一台にという思いが込められている。戦略価格にも注目だ。
REPORT:森本太郎(MORIMOTO Taro) PHOTO:井上 誠(INOIE Makoto)

写真はロンボディのドブロ マキシ。ブラックのウレタンバンパーが道具感を醸し出す。

兄弟同様、ニーズに合わせて2ボディをラインナップ

フィアットから、5人乗りおよび7人乗りMPVのドブロが発表された。ご存じのとおりステランティス・グループとして、シトロエン・ベルランゴ、プジョー・リフターとはパワートレーンをはじめ多くを共用する兄弟車という位置付けである。とはいえ、ルックス、キャラクター、プライスに至るまで思いのほか相違点は多く、単なるバッジ違いという印象は薄い。

スッキリとシンプルなフロントフェイスが個性的。
全幅は1850mmと広めだが、それでもアルファードと全く同じ。
ロングボディのマキシは全長4770mmと、セレナ、ステップワゴンと同等。だが、ホイールベースはそれらの国産勢と比べて100mm以上長い2975mmとなっている。

ドブロの名は日本では馴染みがないが、今回の新型モデルは3代目ドブロにあたり、初代、2代目も商用バンベースのMPVとして2000年に登場以来、各国で活躍している。

新型フィアット・ドブロは、ショートボディの「ドブロ」、ロングボディの「ドブロ マキシ」というシンプルな2モデルをラインナップする。ボディサイズの違い(2列シート=5人乗り、3列シート=7人乗り)以外はすべて共通の1スペックである。

インパネ造形はベルランゴと似た雰囲気だが、細部は異なる。必要な機能は抑えつつ、過剰な加飾はしない、という雰囲気か。

全長はそれぞれ4405mm/4770mmで、マキシは全長で+365mm、ホイールベースで190mmのプラスになる。ベルランゴやリフター、そして他社ライバルであるルノー・カングーとも近い寸法だが、カングーはロングボディが導入されず、ショート同士で比べると、ドブロが85mm短い。ドブロ マキシの全長4770mmは、国産ミニバンで言えばセレナやステップワゴンにほぼ近い。全幅1850mmが許容できれば、ロングであっても十分に扱いやすいサイズだといえるだろう。

興味深いのは、ショート同士の場合、シトロエン・ベルランゴの全高1850mmに対し、ドブロは1800mmとなることだ。ともにルーフレール付きで、50mmも違う。筆者のように「全高1800mmまでなら、ギリで車庫に入るかも!」という方にとっては、この50mmの違いはとてつもなく大きいはずだ。

親しみやすさを増したフィアット独自のスタイリング

パワーユニットは、グループ内兄弟車とも共用する1.5L Blue HDiディーゼルターボエンジン。130ps、300Nmのスペックである。同じ1.5Lディーゼルを積むカングーと比べると、ドブロは、DOHCの採用、パワー、トルクともに約10%増し、ATが1段増しの8ATと、スペック的に優位に立っている。

エンジンは1.5Lディーゼルターボの1スペック。

フランスの兄弟車たちとは、ユーザーイメージも棲み分けされている。プジョー・リフターは、「年配男性、50歳前後、スポーティ、ドライバーファースト、もう一度趣味に打ち込みたい人」といったイメージ。シトロエン・ベルランゴは、「パパ&ママと子供たち。ファミリーでおしゃれに乗りたい人」向け。

対するフィアット・ドブロは、「若い層、ファミリーを含め、カジュアルでフレンドリー、細かいことにこだわらず、お気に入りのアイテムを放り込んでとにかく出掛けよう!」というイメージらしい。何となく上手に棲み分け出来ているような気もする。もともとフィアットはカジュアルでアクティブなブランドだから、こうしたキャラクターが上手くハマるのだろう。

二列目シートを倒せば、ご覧の広さ。身長171cmでは、頭上も足元もまだまだ余裕がある。倒した二列目シートは完全な水平にはならず、腰のあたりに硬いプラスチックが当たるから、車中泊の際にはマットで調整したいところ。

フロントフェイスは、他のフィアットとの共通性も強く感じさせる丸みを帯びたデザインで、フィアット流のファニーさも印象的。一方、バンパーやホイールはブラックでスタイリングを引き締めるとともに、道具感の演出にもひと役買っている。シトロエンやプジョーの上品なイメージも良いが、「気負わずに道具としてガンガン使うぞ!」というデザインは、若い人や、気持ちの若い人アクティブユーザーに支持されるのではないだろうか。

インパネは、プジョーのi-Cockpitのような仕掛けはなく、外観のコンセプト同様にシンプルで、全体のコンセプトとも符号している。お馴染みの2列目3座均等分割シートや、便利なリヤガラスハッチなどの機能装備は兄弟たちと同様だ。

出足のトルク感は十分で普段使いしやすい味付け

短い時間だが、ロングボディのマキシを都内で試乗することができた。1.5lディーゼルターボは、マキシでも街なかの出足は決して悪くなく、ストレスなく普段使いできる印象だ。スペックを見ると、マキシでも車重は1660kgと、ボディのボリュームを考えると決して重くない。

ショートボディなら1560kgと、さらに軽量だ。試乗時は2名乗車のちょい乗りなので、もちろん7名フル乗車や、長い登り勾配でパワフルな走りを求めるのは酷かもしれないが、クルマの性格を考えれば、スペック以上の印象ということができる。

走って良し、見た目良し、道具感良し、の魅力的な欧州MPVがまた1台加わった。

ブレーキは、ファーストバイトで割と強めに効く印象。それ以外は、操作に戸惑うこともなく、視界も含めてすぐに慣れる。ワインディングは走っていないが、欧州MPVらしく印象は良さそう。山道でも登り坂でも、パワーを絞り出してガンガン走り倒す、という使い方も似合いそうだ。60タイヤで乗り心地も上々である。

ドブロは、価格が抑えめなことも嬉しいポイントだ。ショートボディはグループの兄弟車中で唯一400万円を切る399万円。ヴォクシー/ノア、ステップワゴンなどが400万円級の価格になっている状況も考えると、輸入MPVへのハードルをグッと下げる戦略価格と言えるだろう。

このカテゴリーでは、ルノー・カングーが古くから長い人気を保っている。その中で、ベルランゴ、リフター、ドブロと、一気に新しいキャラクターが増えてきたのは、とても喜ばしい。ミニバン天国の日本では、装備の充実度では日本勢が優勢だろうが、ハイセンスなスタイルや、走れる、使い倒せるという欧州流のMPVのラインナップの選択肢が増えたことは、選ぶ側にとっては朗報だろう。何よりドブロに乗って、早く遊びに出掛けたい!と感じた。アクティブユーザーに、是非ともおすすめしたい。

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Doblo                  3,990,000円
Doblo Maxi               4,290,000円
FIAT Doblo


全長×全幅×全高 4405mm×1850mm×1800mm
ホイールベース 2785mm
最小回転半径 5.6m
車両重量 1560kg
駆動方式 前輪駆動
サスペンション F:マクファーソンストラット R:トーションビーム
タイヤ 前後:205/60R16

エンジン 直列4気筒DOHCターボ(ディーゼル)
総排気量 1498cc
最高出力 96kW(130ps)/3750rpm
最大トルク 300Nm/1750rpm
トランスミッション 8速AT(EAT8)

燃費消費率(WLTC) 18.1km/l

価格 3,990,000円
FIAT Doblo Maxi


全長×全幅×全高 4770mm×1850mm×1870mm
ホイールベース 2975mm
最小回転半径 5.8m
車両重量 1660kg
駆動方式 前輪駆動
サスペンション F:マクファーソンストラット R:トーションビーム
タイヤ 前後:205/60R16

エンジン 直列4気筒DOHCターボ(ディーゼル)
総排気量 1498cc
最高出力 96kW(130ps)/3750rpm
最大トルク 300Nm/1750rpm
トランスミッション 8速AT(EAT8)

燃費消費率(WLTC) 18.1km/l

価格 4,290,000円

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