毎日使うメイク道具、どのくらいの頻度で洗っている? 買ったきり、一度も洗ったことがないという人は、なるべく早くお手入れをしよう。今回は、銀座ケイスキンクリニックの慶田朋子先生に、メイク道具のお手入れ方法や買い替え時期について伺った。
(以下「」内慶田朋子先生)
【目次】
そもそもメイク道具は、汚れている?
「メイク道具の汚れは、目に見えにくいためわかりづらいですが、汗や皮脂、剥がれ落ちる角層など私たちの皮膚由来のものと、化粧品の油分が主なものです。皮脂も化粧品に含まれている油分も酸素に触れると約6時間で酸化し、刺激物になります。そのためファンデーションのパフに付着したクリームをそのまま放置していると酸化油分をお肌に塗ることになり、肌荒れのリスクが高くなってしまいます。なお、化粧品は一度開封すると時間が経つにつれ、劣化していきます」
劣化しづらいもの:おしろい、パウダータイプのチークやシャドウ、さらっとしたパウダーファンデーション
劣化しやすいもの:乳状・クリーム状の下地やファンデーション、コンシーラー、練りタイプのチークやシャドウ、日焼け止めクリーム類
汚れたメイク道具でメイクをすると、肌はどうなる?
「まず、酸化油分を塗ることで皮膚の炎症を引き起こし、肌荒れ(湿疹・ざらつき)を起こす可能性があります。 これをきっかけに、 肌全体の菌バランスが崩れると、悪玉菌がつかないように肌バリア機能を高めている表皮ブドウ球菌など善玉菌の生育が悪くなります。するとますます肌荒れしやすくなり、 毛穴が詰まったり、アクネ菌が増えたりしてニキビも増えてしまう悪循環に陥ります。ちなみに、ニキビの元となるアクネ菌は皮膚の常在菌であり、乾燥や炎症によって毛穴が詰まったり、皮脂量が多くなりすぎたりしたときにその数を増し、ニキビを生じさせます。」
汚れやすいメイク道具
「肌に広くこすりながら塗るものが汚れやすいです。例えば、おしろいのパフ、ファンデーションのスポンジ、ファンデーションブラシやチークブラシといったものですね。また、リップブラシもリップの油分と唇の角層、唾液などが付着するため汚れやすいです」
メイク道具の手入れ方法
メイク道具をお手入れする際に慶田先生がおすすめするのは、ローテーションで使えるように4つほどストックを準備しておくこと。そうすることで、メイク道具の手入れがしやすくなる。
マスカラ
「開けた時に周りに汚れがついていたらふき取ったり、マスカラのまつ毛にあたる部分にごみがついていたら、こそぎ取ったりしましょう」
リップブラシ
「リップは油分が多いのでティッシュで大部分をこすり取ってから、食事用洗剤原液で洗うとよいです」
パフ、スポンジ、ブラシ
パフ、スポンジ、筆は、化粧品が粉かクリーム状であるかによって洗い方や頻度が異なるそう。
「おしろい・ファンデーション用のパフやスポンジは、先に塗った下地、自分の皮脂、汗や剥がれ落ちた角層なども一緒につくため、さらに酸化しやすい状態です。そのため、理想的には使うたびにきれいなものに変えたほうがよいです。実際はなかなか難しいので、3日使うごとに変えるようにしましょう(朝、夜使う場合)。おしろい用のパフの場合は、1週間おきに変えるのが◎。ブラシは、毎日使った後、ティッシュで軽く粉を落とすようにしましょう。最低でも月に一回は洗うことをおすすめします」
クリーム系のメイクに使用するメイク道具
食器用洗剤を薄め、振り洗いをして、次に揉み洗いする。筆の先が固まっているときは洗剤も濃くして揉みを強めに。洗浄剤が完全に落ちるまでよくすすぎ、キッチンペーパーで水気をよくとってから、日陰でよく乾かす。パフやスポンジも同様。
パウダー状のコスメに使用するメイク道具
食器用洗剤を薄めて、振り洗いをする。パウダー状の場合は、これだけで十分汚れが落ちるそう。キッチンペーパーで水気をよくとってから、日陰でよく乾かす。パフやスポンジは揉み洗いしよう。
アイシャドウチップ
「アイシャドウチップは小さく洗いづらいので、大量にまとめられて売っているアイシャドウチップを使い捨てで使用するのもおすすめです」
メイク道具を長く使うコツとは?
「ちょうどいい値段のものをいくつか買って、ローテーションするのがよいですね。劣化しづらくなり、道具を洗う習慣も身につきます。また、コスメポーチも清潔にキープし、筆やパフなどにほこりがかぶらないよう保管しましょう。道具を肌に当てる力加減にも気を配ってみてください。メイクをしているとどうしても力がはいってこすってしまいがちですが、肌も道具も傷む原因になってしまいます」
メイク道具の買い替え時
パフ・スポンジ
「パフは、フワっとした付け心地がなくなり、肌触りがゴワゴワしてきたら処分しましょう。スポンジは、表面の見た目がザラっとしてきたと感じた時が替え時です。ファンデーションを買うときに替えのものも一緒に買っておくのが◎」
筆系
「毛先が痛んでいないか、軽いタッチで粉がはたけるか、毛先がフワっとしていないか、の3つがポイントです。特にチークブラシはファンデーションの油も吸うため毛先がダマになりやすくなり、触り心地が悪くなります。ナイロンの筆は、劣化しにくいですが、角が立ちやすいため、肌荒れリスクが高くなります。チークブラシとアイシャドウブラシは高級品を選びましょう 」
まとめ
・清潔でないメイク道具を使うと酸化皮脂や酸化油分の影響で肌荒れし、結果的にニキビが増える可能性がある。
・道具を洗うときは食品用洗剤を使う
・道具は、4つほど買ってローテーションして使う
メイク道具も洋服を洗濯するように、しっかり洗うように心がけて。肌のトラブルを減らすためにも、習慣化を目指そう!
□お話を伺ったのは…
慶田 朋子(けいだ ともこ)先生
銀座ケイスキンクリニック院長。医学博士。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医、日本美容皮膚科学会会員、日本抗加齢医学会会員。東京女子医科大学医学部卒。同大皮膚科助手を経て、「銀座ケイスキンクリニック」を開設。最新の医療機器と注射によるメスを使わないナチュラルな若返り治療、食と美容、健康などの幅広い知識から、テレビや雑誌、WEBなどで活躍。著書に『365日のスキンケア』(池田書店)や『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)がある。
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