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アングル:米大学新入生、オンライン授業でキャンパス遠く - ロイター (Reuters Japan)

[ロサンゼルス 17日 ロイター] - 南カリフォルニア大学(USC)の演劇専攻コースに入学したサラ・ショーウィッチさん(18)は、8月17日に他の多くの新入生に合流、ロサンゼルス市内キャンパスの最初の授業に出席するのをとても楽しみにしていた。

 南カリフォルニア大学(USC)の演劇専攻コースに入学したサラ・ショーウィッチさん(18)。キャンパスで最初の授業に出席するのをとても楽しみにしていたが、新型コロナウイルスのせいで、ミシガン州デトロイト郊外の自宅で講義を聴講することに。写真は8月17日、ロサンゼルスの同大キャンパスで撮影(2020年 ロイター/Lucy Nicholson)

ところが、新型コロナウイルスのパンデミックのせいで、ミシガン州デトロイト郊外の自宅で講義を聴講することになってしまった。

寮のルームメートの名前を知ることもない。隣には同じく在宅で授業を受ける弟や、テレワークをしている両親しかいない。クラスメートと直接会って友達になれない代わり、彼女が学友と知り合うのに利用しているのは、ビデオ会議システムの「Zoom(ズーム)」だ。

電話取材に応じたショーウィッチさんは「何とも言えない違和感があるのは間違いない。オンラインでの友人作りは非常にもどかしい。バーチャル環境でとりとめもない話をうまく進めていくのは、相当苦労するからだ」と困惑した様子だった。

USCで先週行われた新入生歓迎のための「ウェルカム・ウイーク」も、例年ならキャンパス一帯がカーニバルのような雰囲気に包まれ、学生同士でちょっとしたおしゃべりを交わせる無数のイベントが実行される。しかし、今年は歓迎会や夜の映画祭、知り合いづくりのクイズイベント、演奏会、入学式典の華やかな演奏などあらゆる行事がオンラインでの開催になった。

ロサンゼルスの商業地に隣接する大学エリアにあるUSCキャンパスは、歴史的な赤レンガ建物群でも知られる。米国有数の大学フットボール強豪校としても有名で、いつもならこの時期には、暖かい午後の運動場で吹奏楽バンドが練習する、おなじみの「トロイ人の行進曲」が聞こえ始めるはずだった。

そうした日常がパンデミックでどう変わったのか──。この問題を調査しているデービッドソン大学の「カレッジ・クライシス・イニシアチブ」が集計したデータによると、USCをはじめ17日に新学期を開始した大学の32%は、授業を完全に、もしくは主としてオンラインで行っている。

今秋に完全に、もしくは主として対面で授業をする米国の大学は全体の25%弱にとどまり、別の25%はまだ、どうするか決めていない。15%は対面とオンラインの組み合わせ、残りは何か違う方式を計画している。

USCの場合、ロサンゼルス郡保健当局から学生を寮に入れる許可も得られていない。同郡ではコロナ感染者数が高水準で推移しているためだ。昨年時点のUSCの学生数はおよそ5万人だった。

<前向きに現実受け止め>

USC4年生のデラニ・ウォルフさんは、同大のキャンパス活動部門で働きながら学生生活を送る。今年のウェルカム・ウイーク中には、家族が住むカリフォルニア州内の家からトリビアクイズのイベント開催に携わった。

例年のようにキャンパス内のパブで実施すれば、50人ぐらいは来てくれそうだった。だが、今回は全米からのログイン参加は十数人しかいなかった。

それでも彼女は、画面越しにでも友人らと会えてうれしさを隠さない。「4年生なので、今さらウェルカム・ウイークを利用して新たな知り合いを得ようとは思わない。でも、もしも私自身が新入生だったなら、ずっと寒々とした気持ちになっていただろう」と話す。

USCのキャロル・L・フォルト学長は、新入生向けに動画で配信したメッセージで、この秋を「特別な学期」と呼びつつも「かつての学生たちと同じように、あなた方もきっと環境になじんでいくはずだ」とエールを送った。また、在宅授業に学生がストレスを感じることを認めた上で、大学にはオンラインで受講できるヨガや瞑想の授業もあると強調した。

演劇コースのバーチャル歓迎会に先週参加したショーウィッチさんは、思っていたほど悪くなかったと評価。「1分ほどで、以前からこんな感じだったというようになった。これが普通で、われわれは皆受け入れようとしている」と前向きだ。

先々のことはあまりくよくよと考えず、現実をありのまま受け止めるというショーウィッチさん。キャンパスに足を踏み入れることができた時には、こんな奇妙な境遇に置かれていた同じ仲間同士で、普通のクラスメートとは違った形で、絆が深まると期待を抱いている。

一方、数千人に上る海外の学生には、時差という厄介な問題が立ちはだかる。香港にいる3年生のロニー・フーさんは、米国の実際の授業時間に合わせて現地の午前5時に起床するつもりだ。授業は録画されるので万が一、寝過ごしても問題ない点には感謝している。

 南カリフォルニア大学(USC)の演劇専攻コースに入学したサラ・ショーウィッチさん(18)。キャンパスで最初の授業に出席するのをとても楽しみにしていたが、新型コロナウイルスのせいで、ミシガン州デトロイト郊外の自宅で講義を聴講することに。写真は8月17日、ロサンゼルスの同大キャンパスで撮影(2020年 ロイター/Lucy Nicholson)

しかし、教授やクラスメートと対話ができないのは「まるで最も高額なストリーミングサービスを定額契約している」ような気持ちになってしまうという。

海外の学生はもちろん、授業料を全額支払っている。USCが今年3.5%値上げして年間5万9260ドル(約626万円)としたことで、同大は反発の声にもさらされている。

(Rachel Parsons記者)

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August 18, 2020 at 12:40PM
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