新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一般入試の後期日程を中止したり、内容を変更したりする大学が相次いでいる。面接やグループ討論などで、教員や受験生に濃厚接触の可能性が避けられないためだ。筆記試験を取りやめる大学も出始めた。
埼玉県立大、後期日程を中止
埼玉県立大(埼玉県越谷市)は2月末、小論文と面接を課す一般選抜の後期日程の「中止」を発表した。3月12日に受験生を集めるのをやめ、大学入試センター試験の成績と高校の調査書などで合否を判定する。482人の志願者には、学長名の文書を送って中止を伝えたという。
同大によると、「全国から集まってくる道程や会場で受験生が感染するリスクが高い」と判断した。決定後、受験生の保護者を名乗る女性から、「決定が急だ。受験生の努力をどう考えるのか」といった内容の電話があったという。入試担当者は「努力を重ねてきた受験生の心中は察するにあまりあるが、受験生の安全確保と感染拡大を防ぐために判断した」と話した。
東京都市大(東京都世田谷区)は、14日に実施する「センター利用入試〈後期3教科グループディスカッション型〉」で、グループディスカッションをやめて小論文を課す。政府がイベント中止を検討する際のポイントに挙げた「対面でのコミュニケーション」に該当すると判断したという。入試担当者は「大学に来てもらうには、受験生の不安を払拭(ふっしょく)する態勢を整えることが必須だ。だが、ディスカッション型ではそれができなかった」とする。
感染者が多い北海道でも、面接や筆記試験を取りやめる大学が相次ぐ。
実技やめ、動画提出に切り替え
北海道教育大は12日からの後期日程の面接や実技検査を取りやめた。岩見沢校の芸術・スポーツ文化学科の一部の専攻では、面接や実技を実施しない代わりに、演奏している様子の動画や制作した作品の写真などの提出を求める。
旭川医科大と職員に感染者が出た北海道大はセンター試験の成績だけで、帯広畜産大や北見工業大はセンター試験の成績と調査書で判断する。私立の北海道医療大と札幌保健医療大も、グループ面接や個別面接を取りやめた。
高知大は、後期日程を実施する全ての学部学科で、小論文と面接の試験を取りやめた。高知県は四国の中では感染者が多く、入試担当者は「感染拡大を防ぐために決めた」と述べた。
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