■四角いボディに原点回帰した6代目ステップワゴン
ファミリー層を中心に支持されている「ミニバン」は、各社がさまざまなモデルをラインナップする人気のジャンルです。
コンパクト・ミドルクラス・フルサイズとジャンルも細分化され、どのモデルも堅調な販売を確保しています。
そして、日本の道路事情にもっともマッチしていると言われるのが、2リッター前後のエンジンを搭載したミドルクラスミニバンです。
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このカテゴリーではトヨタ「ノア/ヴォクシー」を筆頭に、日産「セレナ」、ホンダ「ステップワゴン」などが凌ぎを削っています。
ノア/ヴォクシーやセレナがイカついフロントマスクやエアロパーツなどで迫力を演出するのに対し、ステップワゴンは、初代/2代目に通じる「直線基調」なエクステリアへと原点回帰。これが市場で好意的に評価されているようです。
ステップワゴンにはどのような魅力があるのでしょうか。
初代ステップワゴンがデビューしたのは1996年。当時ホンダが展開していた「クリエイティブ・ムーバー」シリーズの第3弾として誕生しました。
ライバルたちがキャブオーバー(バンなど)をベースとしていたのに対し、最初からFF・ボンネット付き・ハコ型で、威圧感のない直線基調なデザインを採用。「動くハコ」のような5ナンバーサイズのミニバンとして人気になりました。
2代目も基本コンセプトを大事にしていましたが、2005年に登場した3代目や2009年に登場した4代目あたりから、ライバル同様に空力を意識した流線的なワンモーションフォルムを採用。これはこれでヒットモデルとなりましたが、初代ほどのインパクトは残せず、ライバルの後塵を拝していました。
5代目は、リアゲートに横開きドアを追加した「わくわくゲート」や3列目シートを床下に収納できる「マジックシート」などのアイデア装備を盛り込みましたが、インパクトとしては弱く、これもライバルに迫るところまでは行けませんでした。
そして2022年に、現代のトレンドを上手に盛り込みつつ、大ヒットした初代や2代目を彷彿とさせる水平&直線基調のデザインの6代目ステップワゴンが登場しました。
安全装備の充実などで3ナンバーとなりましたが、FF・ボンネット付き・ハコ型という初代から続くコンセプトを採用。ライバルとは一線を画すことになり、この差別化でキャラクターが棲み分けられた印象の構築に成功しました。
この直線基調こそステップワゴン最大の特徴で、車内も四角く広々とした空間が広がっています。
またFFベースの恩恵で低床とフラットにできたため、多人数乗車だけでなく、趣味のための道具なども大量に積載することが可能です。
■四角いボディはメリットたくさん!
では、ステップワゴンのオーナーは、どのようなところに魅力を感じているのでしょうか。
初代を所有した経験があるSさん(40代・男性)は、20年近く経って再びステップワゴン(現行モデル)を購入。
初代モデル所有時は、オフロードバイクのトランスポーター代わりとして使っていて、バイクを載せて林道ツーリングなどを楽しんでいたそうです。
「子どもたちがだいぶ大きくなったので、そろそろ自分の趣味を復活させようと思ってステップワゴンを購入しました。
初代の使い勝手の良さを覚えていたので、また趣味の荷物が積めるクルマをと考えてチョイスしました」
ステップワゴンの3列目シートは座り心地も良く、跳ね上げて格納するほかのミニバンとは違い、床下に格納することができます。これにより荷物を載せる空間を広く確保することが可能です。
Sさんが再びステップワゴンを選んだのは、初代を彷彿とさせるエクステリアも大きな要素だったとのこと。
水平&直線を基調としたデザインやフェンダー部分の盛りあがりも最小限で、サイドミラーに映るボディもほぼまっすぐなので、現行モデルは3ナンバーボディへと大きくなったものの車両間隔は非常につかみやすいといいます。
「おかげで車庫入れしても真っ直ぐ入れることができます。インテリアも直線基調で、視界も非常に広々としています。
後部座席は後ろに行くほど着座位置が高くなっているので、同乗者に不満を言われたこともないですね」
ステップワゴンのパワートレインは、2リッターエンジン+モーターの「e:HEV」ハイブリッドと、1.5リッターターボエンジンという2つが設定されています。
「ハイブリッドの魅力は捨て難いのですが、道具として考えて、あえてシンプルな『エアー』の1.5リッターターボを選びました。
確かにパワーは細く感じ、高速では少し物足りないですが、普段の走行で不満に感じるシーンは少ないと思います。
ミドルクラスのミニバンはどのモデルも出来が良いと思いますが、私はミニバンにエアロとかを付けたくないので、シンプルなハコ型でガンガン荷物が積めるという使い方ができるステップワゴンが気に入っています」
※ ※ ※
ステップワゴン唯一の欠点は、標準でディスプレイオーディオが付いていないこと。エアロモデルの「スパーダ」はシートヒーターまで含め装備が充実していますが、標準モデルであるエアーはナビをディーラーオプションにしなければいけないのが残念なポイントだそうです。
エアーの装備に関しては、マイナーチェンジや特別仕様車などで装備を充実させたモデルが登場することに期待したいです。
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