登山におけるテント泊は、オートキャンプやファミリーキャンプなどのテント泊とは異なっています。山のテント泊は、それ自体が目的ではなく、宿泊の手段であり、登山全体の一工程であることを念頭に置かなければいけません。
必要最小限の道具で、安全確実に衣食住を確保し、テント場までの登山を無理なく快適に行えるように、装備の軽量化やパッキング技術が必要になります。
テント泊のルールとマナー
登山でテント泊をする時には、いくつかのルールとマナーを守って行う必要があります。何も知らずにテント泊を行うと、最悪の場合大事故に繋がってしまうため、注意が必要です。
テント泊ができる場所を知る
テント泊は国立・国定公園内ではキャンプ指定地以外でテントを張ることはできません。メジャーな山域のほとんどはこれらの対象で、テント泊ができる場所は事前に確認をしましょう。
テント場の指定地の多くは山小屋の近くで、管理運営は山小屋が行なっている場合がほとんどです。テント場によっては山小屋と同様に予約が必要な場合もあり、また期間限定となっていることもあるため事前に確認をするようにしましょう。
テントの設営場所は臨機応変に
山の中のテント場の多くはオートキャンプ場などとは違って区画が区切られていないことがほとんどです。また事前予約制であっても、テントを設営する場所は到着順となります。
このような状態であることから、テント場での利用は各自の常識と良心に委ねられていると考えて譲り合いの精神と、迷惑をかけない行動が必要です。
テント場を汚さないように使う
テント場と言えど、そこは山の中で、自然の一部であることを忘れないようにしましょう。残飯や茹で汁などを捨てると、気温の低い場所であるから分解されずにそのまま汚れとして残り続け、さらには匂いに引き寄せられて、本来そこに住んでいない動物を呼び寄せることになります。
これは実際に起こっていることですが、呼び寄せられた動物が、そこに住む雷鳥を狙い、雷鳥が全滅に追いやられています。これは全て人間が引き起こしたことであることを覚えておきましょう。
話し声やアラーム音に気を付ける
テントは薄い布1~2枚で仕切られているだけなので、小さな音でも周囲には筒抜けです。翌日早く目覚める計画の人が多いことからも就寝時間は早いため、どんちゃん騒ぎはもちろん、できるだけ小声で話すなど迷惑をかけない行動を心がけましょう。
また耳栓を持参して、音や声で寝ることができない、ということがないような対策も心がけましょう。
テント泊をする際にチェックすべきこと
テント泊をする時に必ずチェックすべきことがあります。以下の内容に目を通して、必ず実行するようにしてください。
テント場での水の確保ができるか?
テント場によって水場がある場所とない場所があり、ない場所では山小屋で水を購入するか、水を持参するかの選択肢が必要になります。
ガイドブックや地図などに「水場あり」と記載されていても、時期によっては水が出ない場合もあります(天気が続いていたり、寒くて凍ってしまうなどが主な原因)。また山小屋で水が購入できるという情報があったとしても、確実ではないことを念頭に置く必要があります。
テント泊をする上で、当日の夜ご飯&翌日の朝ごはん&翌日の行動で必要な水と考えると最低でも2リットルの水は必要となるでしょう。この水をテント場で確保できない場合は、持っていく必要があります。
情報に不安がある場合は、山小屋に電話をするなどして登山当日の水の状況を確認するようにしましょう。
予約が必要なテント場であるか?
登山の計画を練る時に、綿密にコースを組み立て、おおよその工程が決まった段階でテント場の情報を確認してみたら予約が必要で、いざ予約確認をしてみたら満杯で予約が出来なかった、なんていう経験をした方も多いのではないでしょうか?
コロナの影響から、予約不要だったテント場が、予約が必要になったり、価格が上がったりとルール変更が多くなりました。
おおよその登山計画が決まったら、まずはテント場が予約できるかを確認し、予約ができたら詳細な工程を組み立てるという順番で、時間とコミュニケーションを無駄にしないようにしましょう。
テント場に到着するのは14時までがベター
テントを設営する時に雨が降ると風も強くなり、ダウンシュラフやストーブを濡らしてしまう、テントやマットなどが風に飛ばされてしまうといったリスクが生じます。
テント泊の設営に慣れれば、これらのリスクを回避することができますが、できるだけ雨風のないタイミングでテント設営を完了させておきましょう。
テント場に到着したら、受付を済ませてテント設営に取り掛かり、テント設営はおおよそ30分で見積もると夕立も考えると遅くとも16時、理想は14時までには到着しておく計画がベターです。
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