戦禍のなか収容所へ送られた人々は、生きるために何を手作りしたのか――。外地の日系人や旧日本軍の捕虜が収容所で作った品々を展示した「極限の中のくらしの道具 収容所生活とWar Art(戦争アート)」と題した企画展が、東京都大田区南久が原2丁目の「昭和のくらし博物館」で開かれている。
1941年12月8日の太平洋戦争の開戦で、南洋などに在留していた日系人は「敵国人」としてオーストラリアの収容所に身柄を拘束された。
また、戦局の悪化で南方などの最前線で捕虜になった旧日本軍の将兵も、収容所へ送られた。
わずかな所持品で始まった生活を少しでも改善しようと、人々は様々な日用品を自作した。また、屈辱的な境遇下で精神の平静を保つため創作活動に携わった人も多く、手の込んだ作品も生み出されている。
企画展では彫刻作品やマージャン牌(はい)など、オーストラリアやミャンマーなどの収容所で手作りされた作品の実物5点と、写真パネル約30点を展示する。
開戦から80年以上の歳月が過ぎ、収容所の体験者は年々少なくなっている。
約12万人の日系人が強制収容された米国では2005年、収容者らの作品を日系3世の米国人ライターが集めて出版した書籍「The Art of Gaman」(我慢の芸術)が注目を集め、米国7カ所で作品展が巡回した。以後、これらの作品は「尊厳の芸術品」と呼ばれ、収集・評価の動きが本格化している。
一方、オーストラリアでは近年、日系人や日本軍捕虜が収容所で作った日用品や美術品が少なくとも数百点、各地で残されている実態が判明したという。
抑圧された暮らしの中で人々が何を渇望していたのか、それらの品は雄弁に物語っている。
「しかし、オーストラリアや東南アジアの収容所で作られた品々を収集・保存する動きは、本格化しているとは言えません。戦地から持ち帰った品物を所蔵している方は、ぜひ寄贈や貸し出しをご検討ください」と、同館の小林こずえ学芸員は呼びかけている。
企画展は12月18日まで。金、土、日曜と祝日のみ開館。午前10時~午後5時。入館料は一般500円、小中高生300円。
また、12月10日午後1時半から、オーストラリアで日系人の強制収容について研究を続けるクイーンズランド大学客員研究員の永田由利子さんとフリンダーズ大学教授のテツ・キムラさん、フィリピンで日本の現代美術やマンガを研究しているチェンチュア・カール・イアン・ウイさんの3人を招き、講演会が開かれる。会費1千円(入館料込み)、要予約。氏名、電話番号、メールアドレスを添えて同館(電話03・3750・1808、メールmail@showanokurashi.com)。(編集委員・永井靖二)
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