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蔵元の思い継ぐ 日本酒博物館 銚子の酒屋開設 明治−昭和 醸造道具を展示 希少な木製大樽など70種200点 - 東京新聞

仕込み樽の使い方を説明する鎌田芳宣さん=いずれも銚子市で

仕込み樽の使い方を説明する鎌田芳宣さん=いずれも銚子市で

 千葉県銚子市小浜町の酒屋「酒の駅かまた」が今秋、「日本酒博物館」を開設した。店内併設で明治−昭和時代の醸造道具や、酒の歴史にまつわる希少な資料を展示。店長の鎌田芳宣さん(63)は「消費者と蔵元をつなぐ地域イベントなどにも活用してほしい」と話す。(堀場達)

 鎌田さんは先代の父親が昭和四十年代に開業した酒屋を営み、県内の地酒を中心に、全国の日本酒、焼酎、ワイン、ビールなどを販売。博物館開設のきっかけは、明治創業で二〇一八年に廃業した市内の蔵元「飯田酒造場」の経営者(故人)と培った交流だった。

酒造りに使われていた道具類の数々

酒造りに使われていた道具類の数々

 「もったいない。未来に語り伝えたい」−。鎌田さんは廃業で不要となった醸造道具を引き取った。「取引を続けるうち、酒造りの現場で学ばせてもらったり、蔵に出入りしている全国の日本酒や焼酎の関係者ら、さまざまな人脈が築くことができたりなど、大変、お世話になった」。故人への感謝の思いが、日本酒博物館の構想につながった。

 展示品は飯田酒造場の道具に加え、市内のほかの蔵元の協力も得て、全国各地の蔵元などに声掛けして収集。さらにインターネットオークションを通じ、現在は作られることすらまれになった木製の大樽(おおだる)をはじめとする約七十種類、二百点の道具が集まった。鎌田さんによると、原料の米こうじや水などを混ぜ合わせる「仕込み樽」には、衛生保全や腐敗防止のための柿渋がコーティングされているという。

大正時代の定価表

大正時代の定価表

 館内の壁に貼られた大正時代の等級ごとの「定価表」は、滋賀県で用いられていたとみられ、購入した酒を持ち帰る陶製の大徳利(どっくり)やヒョウタンは、繰り返し利用するリターナブル容器の先駆けだ。酒屋が客に呼びかける告知板「お酒は現金に願います」は、「ツケ払い」の習慣をやめさせるためのものとみられる。

 酒屋と博物館は営業時間帯が同じで、年末年始と毎月第一、第三火曜日を除く、午前九時〜午後七時。問い合わせは、酒の駅かまた=電0479(23)9025=へ。

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