ここ数年のキャンプブームによって、ファミリー層だけでなく、ソロキャンプや女子キャンプなど、幅広い層にキャンプを楽しむ人が広がっています。
キャンプの楽しみ方はさまざまですが、ぜひおすすめしたいのがキャンプでコーヒーをいれること。アウトドアで飲むコーヒーは格別です。
でも、どうせ飲むなら道具にもこだわっておいしいコーヒーをいれたいですよね。
アウトドアだからこそ気をつけておきたい道具の選び方や、おいしいコーヒーのいれ方について、キャンプマニアの山口さんに伺いました。キャンプでコーヒーをいれるためのおすすめ道具も紹介します。

山口 健壱さん
日本全国約250箇所のキャンプ場でキャンプをする日本全国キャンプ旅を2年かけて行ったり、キャンプ場のスタッフとしてキャンプの楽しみ方をサポートしたりと、キャンプの楽しさを多くの人に伝えるために幅広く活動している。イベントにコーヒーショップを出店するほどのコーヒー好き。著書に『キャンプのあやしいルール真相解明−根拠のない思い込みにサヨウナラ−』(株式会社三才ブックス)。
キャンプでのコーヒーの楽しみ方
Image: Shutterstock
キャンプでのコーヒーの楽しみ方として、ドリッパーを使ったハンドドリップ、直火式のエスプレッソメーカー、フレンチプレス、エアロプレス、パーコレーターを使う方法があります。
ハンドドリップ
ドリッパーに紙のフィルターをセットし、挽いたコーヒー豆を入れてケトルでお湯を注いで作るもの。フィルターの素材は紙のほかに繰り返し使える布製やステンレス製のものもある。
直火式エスプレッソメーカー
水と挽いたコーヒー豆をセットし、火にかけることで蒸気圧によってコーヒーが抽出されるもの。ハンドドリップに比べて少ない水で抽出するので濃い味わいが楽しめる。
フレンチプレス
挽いたコーヒー豆にお湯を注いで抽出し、金属製のメッシュ部分を押し下げ、濾してコーヒーをいれるもの。コーヒーの細かな粉が入ってしまうが、コーヒーのオイルが取り除かれないので、コーヒーそのものの味を楽しめる。
エアロプレス
比較的新しい抽出器具。フレンチプレスのように、挽いた豆にお湯を注いだ後、空気の圧力でコーヒーを抽出するもの。コーヒーを濾すときにペーパーフィルターを使うので、微粉が入らずすっきりとした味わいになる。
パーコレーター
ケトルの中で沸騰したお湯がコーヒー粉に何度もかかり循環することで抽出されるもの。アウトドアならではの飲み方のひとつ。
これらのなかで最も主流と言えるのがハンドドリップです。さまざまなアイテムがあるので選択肢も豊富ですし、こだわりに応じてアイテムを買い足していく楽しさもあります。
とことんこだわることができるのがハンドドリップの醍醐味です。
ハンドドリップの道具の選び方とおすすめ商品
Image: Shutterstock
ハンドドリップに必要なコーヒーミル、ドリッパー、ケトルとドリップポット、カップ、周辺道具について、山口さんにおすすめのものを紹介していただきました。
コーヒーミル
コーヒーミルを選ぶとき、刃の素材が一つのポイントになります。ここではセラミックの刃を使っているコーヒーミルを選びました。金属製の刃は金属臭がするという人もいますがセラミック刃だとそれを感じませんし、耐久性もあるので長期的に使える点からもおすすめです。
もう一つ大切なのは、解体できてきちんと洗えること。すっきりとしたおいしいコーヒーを安定した味でいれるために邪魔になるのが、酸化した豆や微粉(細かくなった削りかす)です。手入れがしやすいものを選ぶことで、こまめに酸化した豆や微粉を除去することができます。
ポーレックス コーヒーミル2 ミニ

小刻みに好みの粒度に挽くことができるコーヒーミル。セラミック刃などの部品を取り外して洗浄できるので清潔に保つことができます。

国産メーカーとして昔から出ている定番のもの。使いやすく手早く1〜2人分の豆が挽けます。コンパクトなサイズ感が丁度よい一台です。
珈琲考具 コーヒーミル

容器に目盛りがついているのでスケールを使わなくてもコーヒー豆が計量できます。均一な大きさで豆が挽けるセラミック刃タイプ。

コーヒーの味を安定させるためには豆の量を一定にすることも重要なのですが、このコーヒーミルには浅煎りと中・深煎り用それぞれに豆の量のガイドがついているので、スケールを持っていけない軽量なキャンプのときに大体の豆の量がわかりとても便利です。
オーシャンリッチ UQ-ORG2BL

5段階の粒度調整が可能な電動コーヒーミル。石臼のように豆を潰しながら挽くので、微粉の発生を少なくしてくれます。USB充電式なので好きな場所に持ち運べます。
1分くらいかけてじっくり豆を挽く電動タイプのコーヒーミル。豆を挽くときの摩擦熱がコーヒー豆の風味をそこなうということが言われているのですが、これはじっくり挽くので摩擦熱が起こりにくく、コーヒーの風味を損ねにくいため、香り高いコーヒーを楽しむことができます。
ちょっとよいコーヒーミルの倍くらいの価格ですが、やはり自動で豆を挽いてくれるのはとても便利。3〜4人分を一度に挽くことができます。
ドリッパー
アウトドア環境では携帯性の高いドリッパーがおすすめです。シリコン製のものは折りたためるので小さくなりますし、破損の心配もありません。
キャンプにぴったりのすっきりとした味わいのコーヒーをいれるためには、溝がついているものや、穴が3つあるものなど、さらっと抽出できる仕組みのものがおすすめです。
カリタ ウェーブ for Outdoors 2〜4人用

金属加工の町、新潟県燕市で作られたステンレス製の3つ穴のドリッパー。つや消しのステンレスのデザインも◎。
カリタの有名ドリッパー「ウェーブ」シリーズのアウトドア仕様のアイテム。カリタウェーブ自体、抽出スピードが早く、スッキリとした味わいに仕上げられる名機なのですが、初心者こそ使うと幸せになれるドリッパーです。
リバーズ コーヒーポアオーバーセット

リバーシブルで使えるシリコン製のドリッパー「ケイブR」とドリッパーホルダーの「ポンドF」がセットになったもの。ドリッパーは丸めて、ドリッパーホルダーは2つに折りたたんでコンパクトに持ち運ぶことができます。
ポンドFが微妙に使いにくいという点は少し残念ですが、ケイブRの溝のおかげでスッキリとした抽出が可能に。アウトドア用ドリッパーとしてとても優秀です。
MSR マグメイトコーヒーフィルター

マグカップに収納できるコーヒーピルター。ペーパーレスで繰り返し使うことができます。
取っ手を持てばドリップ式、そのままカップに沈めれば半浸漬式として使えるアイテムです。軽くてアウトドア用のマグカップにスタッキングできるので、持ち運びしやすく便利。
ごみ捨てが若干面倒なのと、コーヒーのオイルも楽しめる反面、微粉を飲まないように注意が必要です。
ケトル・ドリップポット
アウトドアのケトルには縦長のものが多いのですが、平たいタイプのケトルは持ち運びしやすく、邪魔になりにくいのでおすすめです。
平たいタイプのケトルは使い勝手が良いだけでなく、ケトルの中にコーヒー豆を入れてお湯を沸かしてコーヒーを抽出する「煮出しコーヒー」にも使うことができます。煮出しコーヒーはフィールドコーヒーなどとも言われ、ブッシュクラフトと呼ばれる、より野営的なキャンプを楽しむ人の中で最近注目されているコーヒーの入れ方なのですが、平たいタイプのケトルを使うのが便利です。
ドリップポットは持ち運びしやすいものや注ぎやすいものがおすすめです。コーヒーをいれるときはお湯の温度も大事なのですが、ケトルで沸かしたものをドリップポットに注ぎ直すだけで、90〜80度くらいのコーヒーにちょうどよい温度になります。
よりこだわってコーヒーをいれたい方は、ケトルで沸かしたお湯をドリップポットに移し替えてコーヒーをいれるのもよいでしょう。
UNIFLAME 山ケトル700

底面が広いためお湯が早く沸き、持ち運びもしやすいアルミ製(アルマイト加工)のケトル。満水容量は約0.7L(適性容量:約0.6L)。
国産メーカーならではのしっかりとしたつくりがかっこいいケトル。1〜2人でキャンプをするときに何かと便利なちょうどよいサイズ感です。
基本的にはドリップ用ではなく、沸かすために使いますが、溶けたり燃えたりするものがついていないので、焚き火にそのままかけられるのもよい点です。
トランギア ケトル 0.6L TR-325

アルミ製のケトル。取り外し可能なラバーチューブを取ると焚き火にもかけられます。

ハンドルにチューブが付いているので、そのまま持てるのが便利なケトル。アルミ製で軽いので、軽量スタイルでキャンプに行くときによいでしょう。
個人的にはお湯を沸かすために使い、ドリップ用としては使っていませんが、注ぎやすい注ぎ口もよいアイテムです。
ハイマウント ミニドリップポット

アウトドアでも家でも使えるステンレス製のドリップポット。注ぎ口が細いのでお湯をゆっくり細く注げます。満水容量は300mL。

たしなむ程度に飲むなら2杯分、しっかり飲みたいなら1杯分がとれるドリップポット。サイズが小さく比較的持ち運びやすいのが◎。これからキャンプでドリップコーヒーをしっかり楽しみたい初心者の方におすすめです。これがあるだけでおいしさが段違いになります。
珈琲考具 ツードリップポット Pro

独自のS字構造の注ぎ口でほぼ垂直にお湯が落ちるため、勢いを抑えながら狙った場所に注ぐことができます。水切れがよいのもうれしい。満水容量は750mL(適性容量:500mL)。
現時点で最強のドリップポット。アウトドア用品ではなく、大きめではありますが、直火に直接かけられますし、底面が広いので火を受けやすくお湯を早く沸かせるところもポイント。
角度がついたS字の細めの注ぎ口で、真下であっても狙ったところに落とせるなど、お湯のコントロールがしやすいのが強みです。もう1ランク上の道具を探している人にも、初心者の方にもおすすめです。
私自身、これを買ってから味が安定するようになった、買ってよかったアイテムです。
カップ
あたたかいコーヒーは飲み口が厚いものを選ぶとコーヒーをじっくりと味わいやすく、冷たいコーヒーは逆に飲み口が薄いカップを使うと口当たりがよくなります。
真空構造で保温がしっかりできるカップを選ぶと、温かいものも冷たいものも温度をキープしながらおいしく飲むことができます。
スタンレー 真空マグ0.23L

48度以上と11度以下を6時間キープできる、持ち運びに便利なサイズの容量230mLの真空マグ。重量は260g。
コンビニのコーヒー一杯分(Sサイズ)を入れるのにちょうどいいサイズ感のカップなので、キャンプシーン以外でも幅広く使えるコスパのよいアイテム。真空構造のため冷めにくく温まりにくいので、ホットにもアイスにも使えます。
ユニフレーム スタッキングマグ350 チタン

携帯性に優れたチタン製の容量約350mLのマグカップ。重量は約65g。

コーヒーから普通の飲み物、ビールまでなんでもござれのちょうどいい350mL。飲み口が厚手で飲んだときの印象がとても柔らかく感じます。
真空構造ではないので保温力はありませんが、軽くて持ち運びやすいカップです。
取手にカラビナをつければバックパックの外側に吊るせるので、徒歩のキャンプでおいしいコーヒーを楽しみたいときにもおすすめ。
周辺道具
必ずしも必要なものではありませんが、これがあるとコーヒーの味や楽しみ方がぐっと広がるおすすめの周辺道具を紹介します。
ハリオ V60ドリップスケール

時間と重さが同時に測れるハンドドリップ用のスケール。蒸らし時間やコーヒーの抽出時間、抽出量を測ることで、安定した抽出を実現します。電池式で持ち運びにも便利。

薄くて軽いのでキャンプ道具の隙間にスッと入れていけるのがよいところ。コーヒーを安定しておいしく仕上げるのに大事な要素は計量と時間なので、実はこういったスケールは重要です。
安いスケールとスマホのストップウォッチ機能を組み合わせてもよいのですが、こういった道具があると便利です。
珈琲考具 パウダーコントロール

ステンレスのメッシュアミをセットした容器に豆を入れて振ることで微粉を落としてくれるもの。1〜2杯用と3〜4杯用の2サイズがあります。
微粉がドリッパーの下の方に溜まってしまうと、コーヒーが抽出されづらかったり、濁ったコーヒーになりやすかったりするのですが、これで微粉を取り除くことで粒度が揃い、さらっと落ちてくれる豆だけが残るので、すっきりした味わいのコーヒーに仕上がります。
微粉がコーヒーの味わいにどれだけ影響するのかがわかるアイテムです。
TIGHTVAC バキュームコンテナ 120mL

密閉状態を作れるので、食材の劣化を防いでくれる保存に適したコンテナ。
コーヒー豆持ち運び用のキャニスター。ボタンを押しながら蓋をするだけで簡易的な真空状態にできるので、豆の酸化をある程度遅らせる事ができます。120mlサイズにはハンドドリップ3〜4杯分が入ります。大きなサイズもあるので人数や泊数に合わせて準備できるのも◎。
関根桐材店 桐CUBE コーヒーキャニスター

気密性の高い国産の桐材を使ったコーヒー豆の保存容器。外気温や湿度、紫外線からコーヒー豆を守り、鮮度を守ってくれます。
蓋の継ぎ目が分からなくなるくらいぴったりと閉まるコーヒーキャニスター。自宅で豆の保管用にも使っています。
カラーバリエーションがあるので、朝に飲むコーヒーと夜に飲むコーヒーなど、気分に合わせて豆を何種類か用意して、並べておくのもかわいくておすすめです。
どちらかというと自宅用で少しサイズが大きめではありますが、アウトドアでも普通に使えるアイテムです。
おいしいコーヒーを作るための4つのコツ
Image: Shutterstock
こだわりはじめるとキリがないのがコーヒーの世界。おいしいコーヒーの入れ方もたくさんありますが、その中でもキャンプでも簡単に実践できる、コーヒーをおいしくするコツを山口さんに伺いました。
①豆を1分蒸らす
最初からお湯を一気に注ぐのではなく、まずはコーヒー豆が湿るくらいのお湯を入れて、1分程度待つ「蒸らし」の作業をしましょう。これをすることで失敗が減りますし、これをするとしないとでは味が大きく変わってしまうほどの重要なポイントです。
②お湯は3回に分けて注ぐ
豆を蒸らした後はだいたい同じくらいの量ずつ、3回に分けてお湯を注ぎます。1回目に注いだものが落ち切ってから次のお湯を注ぐということを繰り返してください。
好みや飲むタイミングにもよりますが、コーヒー1杯はだいたい150〜200mL程度。キャンプでよく使うシェラカップには目盛りが刻んであるので、最初に水の量を測ってから沸かすと3回に分けて注ぎやすくなるでしょう。
③ドリッパーを軽く揺らす
お湯が落ち切ったときに、ドリッパー内の粉の中央がへこんですり鉢状になっていると、すべての豆にまんべんなくお湯が行き渡っていない可能性があります。
3回目のお湯を入れたときに軽くドリッパーを揺らすと、すり鉢状になるのを防げて豆全体にお湯が回るようになり、味が安定しやすくなります。
④カップを事前に温めておく
コーヒーを注ぐカップは、事前にお湯を入れて温めておきましょう。地味ですが、これをやるだけでアウトドアでもより長くおいしくコーヒーを楽しめるようになります。
もっとキャンプならではのコーヒーを楽しもう!
Image: Shutterstock
ハンドドリップ以外にも、キャンプならではの抽出方法であるパーコレーターや、比較的新しい抽出道具のエアロプレスについて、山口さんにおすすめの道具を伺いました。
キャンプの醍醐味が味わえる「パーコレーター」
ハンドドリップなどと比べて必ずしもおいしいわけではありませんが、大人数のキャンプで、朝にとりあえず苦いコーヒーを一杯飲みたい! というときに便利です。
Esbit ステンレス コーヒーメーカー

挽いたコーヒー豆と水をセットして専用の固形燃料を燃やすと、12〜13分ほどでコーヒーがいれられます。タンクの容量は240mL。
規定量の固形燃料で勝手に抽出までやってくれる変わり種のパーコレーター。火にかけて放っておくと、勝手にコーヒーをカップに注いでくれます。
メッシュフィルターなので深煎の豆を細めに挽くと、擬似的なエスプレッソを楽しめます。普通のパーコレーターよりおいしく抽出できる印象です。
GSI ステンレスパーコレーター

コーヒー豆と水を入れて火にかけるとコーヒーが抽出できるパーコレーター。ストレーナーを外すとケトルとしても使えます。
パーコレーターの構造上、ハンドドリップや他の抽出方法のコーヒーに比べると味わいは劣ってしまいますが、それでも火にかけておくだけで勝手に抽出できるので、大人数でキャンプを楽しむときに活躍します。
比較的新しい抽出道具「エアロプレス」もおすすめ!
比較的新しい抽出方法として注目されているエアロプレス。ハンドドリップに比べて安定した味を出しやすいという利点があります。
抽出時間も、ハンドドリップが抽出してから約3〜4分でいれ終わるのに対して、エアロプレスはだいたい1分半くらいでいれることができます。
エアロプレス エアロプレスGO

マグカップになる部分にすべての付属品を収納できるので、コンパクトに持ち運べます。挽いた豆とお湯があればすぐにコーヒーを楽しめるのが◎。

これ一つ持っていけば、ハンドドリップよりも手軽に誰でもどこでもおいしいコーヒーが飲めます。キャンプ旅はもちろんですが、この道具とホテルのケトルがあれば、その土地のロースターで挽いてもらった豆をすぐ飲めるので、旅行などにもおすすめです。
コーヒーをおいしく飲むためにもコンロにもこだわろう
Image: Shutterstock
キャンプでコーヒーを飲むときには、お湯を沸かすためのガスコンロやガスバーナーが必要です。
高火力なものを使うと、早くお湯が沸かせるので楽です。ハンドドリップでコーヒーを何杯か入れるときは、1杯入れて豆を捨て、また豆をセットして……という作業の間にガスの火を切ったりつけたりするのは面倒なので、とろ火にできるバーナーを使うと便利でしょう。
とにかく手軽に飲めるようにコンパクトなバーナーもおすすめです。
from "道具" - Google ニュース https://ift.tt/njTDE3c
via IFTTT
Bagikan Berita Ini
0 Response to "キャンプで飲むコーヒーは格別!マニアおすすめハンドドリップアイテム19選 - roomie"
Post a Comment