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世界の大学教育の評価はどのようになっているのだろう - 日豪プレス

今さら聞けない経済学

日本や世界の経済ニュースに登場する「?」な話題やキーワードを、丁寧に分かりやすく解説。
ずっと疑問だった出来事も、誰にも聞けなかった用語の意味も、スッキリ分かれば経済学がグンと身近に。
解説・文=岡地勝二(龍谷大学名誉教授)

第61回 世界の大学教育の評価はどのようになっているのだろう

はじめに――

今、世界では、ほぼどんなものでも評価=序列があります。当然、企業でも、一流とか二流とか、また、国でも「一流国」とか「二流国」などという評価が、人々の間でまことしやかに流れています。それは「先進国」とか「発展途上国」という良い言葉で表現されることもあります。

当然、私たち人間についても「一流人」という言葉をよく耳にします。もっとも、いったい誰がどのような基準で、この人は「一流人」、あの人は「二流人」などと決めるのでしようか。でも日々の生活で私たちは、さまざまなものに対して格付けがなされていることを経験的に知っています。

後藤新平の名言

私はこんな言葉を耳にしたことがあります。大正時代に、東京という町を世界的な都市に成長させた「名市長」と呼ばれた「後藤新平」という偉い方は、こんな名言を人々に残してくれました。「財産を残して去るのは三流の人、名前を残して去るのは二流の人、世に役立つ人を残して去るのは一流の人」、という言葉です。どうですか、この言葉は、今でも「名言の響き」を持っていませんか。ちなみにこの後藤新平という方はもともと「お医者さん」でしたが、明治政府の内務省に入り、1898年から8年間台湾総督府の民生局長をされ、台湾の発展にとても尽力されました。更にその行政的手腕を買われて、明治時代の末期に南満州鉄道の総裁をされたり、明治時代の末期から大正時代にかけてとても活躍された方でした。

さて、大学というのは世の中でとても大切な教育施設ですが、実は、これにも世界はちゃんと評価=序列を付けているのです。へぇ、大学ってどのようにして評価をするのだろうかと疑問に思われる向きもあるかと思います。しかし世界にはさまざまな統計資料がありますので、それらに基づいて序列が作られているのです。

高く評価を付けられた大学で学べる人は幸せですが、教育に序列を付けるというシステムについては、いささか心の中では複雑な思いがします。しかし、現実に歴然とその評価・序列は公に表れ、世界中の関係者の間で関心を持たれているのです。そこで、その評価・序列の一端を見てみましょう。

大学評価の実態

イギリスに『The Times Higher Education』という雑誌があります。それは教育関係者の間ではよく知られている雑誌で、年に1回世界の大学のランキング=序列を「World University Ranking」というタイトルで発表しています。つまり世界一の大学はどこか、ということを堂々と発表するのです。

序列を決めるのは4つの基準に基づいているといわれています。
(1)Teaching=教育の内容
(2)Researching=研究業績
(3)Knowledge transfer=知識導入
(4)International outlook(国際的な評価)

これらの基準に基づいて世界の大学の序列を決めるというシステムです。大学関係者にとってとても興味のある「序列」でもあるようです。序列が上位にある大学関係者にとって、これは「喜ばしいこと」であろうかと思われますが、そうでもない大学関係者にとっては、「えー、こんな序列を作って一体何の役に立つの?」などと訝る向きもあります。しかし、ここでは現時点での、世界のいわゆる「有名な大学」の名前を見てみましょう。もし関係者がいたら、筆者は「おめでとうございます」と申し上げたいですね。

World University Ranking – Best 10 universities
1. オックスフォード大学(イギリス)
2. スタンフォード大学(アメリカ)
3. ハーバード大学(アメリカ)
4. カリフォルニア工科大学(アメリカ)
5. マサチューセッツ工科大学(アメリカ)
6. ケンブリッジ大学(イギリス)
7. カリフォルニア・バークレイ校(アメリカ)
8. エール大学(アメリカ)
9. プリンストン大学(アメリカ)
10. シカゴ大学(アメリカ)

以上が、いわゆるベスト10の大学です。これらの大学の名前を見ると、「なるほど」といえるのではないでしょうか。ベスト10を、全てイギリスとアメリカの大学で占めているのです。さぁ、日豪プレスの愛読者の方で上記の大学に関係されている方はいらっしゃいますか。

日本とオーストラリアの大学の序列

さて、せっかく世界のベスト10の大学を見てきましたので、もう少し中を詳しく見てみましょう。例えば、主に日豪プレスが読まれているここオーストラリアでは、どの大学が世界でどれぐらいのところにあるのでしょうか。
31. メルボルン大学
51. シドニー大学
59. オーストラリア国立大学

以上3校がベスト100までに入っています。素晴らしいではありませんか。確かにこれらの大学はオーストラリアにおいてとても評価が高く、そして人気のある大学です。

ちなみに、日本の大学についても見てみましょう。もしかしたら日豪プレスの愛読者の方の「母校」が入っているかもしれませんね。
36. 東京大学
54. 京都大学

日本では、上の2つの大学だけです。なんだか寂しいですね。

日本の大学が世界の大学の序列で上位になれないのは、日本の大学は、一般に「内向き」だと思われているからです。日本の大学での教育は、ほぼ全て一様に日本語で行われます。日本語を学ぶということはとても難しく、また世界でも「マイナーの言葉」だといわれています。するとそのような大学へ外国からそう簡単に勉強に来るということはありえないでしょう。そうなるとどうしても、日本の大学の「国際化」は遅れます。そのため、世界からの評価は低くみられます。しかし、日本の大学での講義を英語で実行するのは困難なのではないでしょうか。

ときどき耳にする言葉に、次のような言葉があります。「日本の経済は一流、大学教育は三流」だと。今、世界中で起きている国際化の大きな波は日本の大学にも押し寄せています。従って、日本の大学も、世界の大学教育の「質的向上を目指す」という大きな目標に一刻も早く取り組む必要があります。そうそういつまでも世界の大学教育の「後塵をする」わけにはいきません。この件に関して、より強力な「抜本的な解決方法」が求められているようです。


岡地勝二
関西大学経済学部卒業。在学中、ロータリークラブ奨学生としてジョージア大学に留学、ジョージア大学大学院にてM.A.修得。名古屋市立大学大学院博士課程単位終了後退学。フロリダ州立大学院博士課程卒業Ph.D.修得。京都大学経済学博士、龍谷大学経済学教授を経て現在、龍谷大学名誉教授。経済産業分析研究所主宰

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November 09, 2020 at 08:37AM
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