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大学の遠隔授業、満足度上げるには 通信の安定や教員の負担が課題 - 中日新聞

オンライン授業で活用した講義資料について説明する纐纈教授=岐阜市柳戸の岐阜大で

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 新型コロナウイルスの感染を防ぐため、県内の多くの大学でオンライン授業などの取り組みが活発化している。動画を配信する講義型だけでなく、ビデオ会議アプリで教員と学生が議論を交わす対話型も進む。新しい学び方の進展が期待される一方、通信環境の安定性や教員の負担増といった課題もある。

 岐阜大(岐阜市)は四月下旬から徐々に遠隔授業を始め、五月七日に全学部で本格導入した。うちビデオ会議アプリを使う工学部の纐纈守教授(58)の授業では、各学生のパソコンには動画付きの講義資料や教授の顔が映り、質問や意見のやりとりができる。

 「質疑応答が活発にでき、(対面の授業以上に)学生の理解度は上がっているかもしれない」と同教授。工学部二年の青山侑愛(ゆうな)さん(19)は「通信回線が時々切れてしまう点は課題だけど、普段の大教室より質問しやすい」と満足そうだ。

 ただ、教員側の負担は大きい。纐纈教授は「授業の準備にかかる時間は普段の二倍、学生の宿題にコメントをつけるのは四〜五倍がかかる」と話す。作業は休日や夜間に行っている。ソフトなどの使い方に慣れるのにも時間がかかった。

 こうした授業は機材や一定の編集技術が必要で、全ての教員が対応できるわけではない。授業で配布予定のプリントの共有にとどまる教員もいるという。同大は、前期は遠隔授業を続ける。纐纈教授は「大変だが、学びたいという学生の意欲に応えたい」と語る。

 岐阜女子大(同)は、もともと沖縄校との授業でノウハウがあり、四月初旬に県内でいち早く遠隔授業を始めた。文化創造学部の久世均教授(66)は「ビデオ会議アプリだと学生一人ずつの反応が見られる」と利点を挙げる。「インターネット上のさまざまな素材を自分で探し、主体的に学ぶきっかけになれば」と話す。

 一方、二百人が受講する通常の授業では、雰囲気やタイミングを見ながら数人のグループで話し合う時間も設ける。だが、ビデオ会議形式ではそうしたきめ細かい対応が難しいという。

 岐阜聖徳学園大(同)では、情報通信技術(ICT)が苦手な教員向けに教務課職員が、学習システムの使い方などを教えている。通信環境やパソコンがない学生には、学内のコンピューター室を貸し出した。

 文部科学省の五月の調査では、全国の国公私立大で遠隔授業を「実施する」と回答したのは67・2%。五年前の25・9%から大幅に増えた。コロナ問題の長期化で今後は通信環境や機器の整備に加え、学生の満足度が高い充実した授業をどのようにつくるかが、より問われるようになる。現場の試行錯誤が続きそうだ。

 (安江紗那子)

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May 25, 2020 at 03:05AM
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