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昭和大学先端がん治療研究所の今村准教授らのグループが、国際的な論争「乳がんタモキシフェン療法においてCYP2D6 遺伝子型に基づく個別化治療は必要か」に決着をつける臨床試験結果を発表 - 大学プレスセンター

 ホルモン受容体陽性乳がんの標準治療薬であるタモキシフェンは、肝臓にある酵素CYP2D6により体内で活性代謝物に変換されます。CYP2D6の活性は遺伝的素因によって高い人と低い人が存在し、活性が低い患者ではタモキシフェンの治療効果が劣るといった後ろ向き研究結果が米国の研究グループより2005年に発表されて以来、タモキシフェンの治療効果に及ぼすCYP2D6遺伝子型の影響について世界中で数多くの後ろ向き研究が行われてきました。しかしながら各研究での対象患者背景や遺伝子検査試料など種々の因子が同じではないことから一定の結果が得られておらず、相反する研究結果が乳がんに対するタモキシフェン治療に混乱をもたらしていました。CYP2D6低活性遺伝子保有者割合には民族差があり、日本人では約7割に及びます。

 本研究チームは、乳がんタモキシフェン療法におけるCYP2D6遺伝子型に基づく個別化治療は不要との結論を導くとともに、日本人に多い低代謝活性遺伝子型は治療上の不利益とはならないことをハイレベルのエビデンスとして世界に発信しました。


 本臨床試験は、文部科学省の次世代がん研究戦略推進プロジェクト(がん薬物療法の個別適正化プログラム)および日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業として全国54施設の参加により実施され、昭和大学医学部外科学講座乳腺外科部門の中村清吾教授らからも症例が登録されました。

■発表論文
・雑誌:J Clin Oncol, 2020 Feb 20;38(6):558-566. doi: 10.1200/JCO.19.01412.
・タイトル:CYP2D6 genotype-guided tamoxifen dosing in hormone receptor-positive metastatic breast cancer (TARGET-1): a randomized, open-label, phase2 study(ホルモン受容体陽性転移・再発乳がんに対するタモキシフェンのCYP2D6遺伝子型に基づく個別化投薬と固定用量の比較研究).
・著者:Kenji Tamura, Chiyo K. Imamura, Toshimi Takano, Shigehira Saji, Takeharu Yamanaka, Kan Yonemori, Masato Takahashi, Junji Tsurutani, Reiki Nishimura, Kazuhiko Sato, Akira Kitani, Naoto T. Ueno, Taisei Mushiroda, Michiaki Kubo, Yasuhiro Fujiwara, Yusuke Tanigawara(田村研治、今村知世、高野利美、佐治重衡、山中竹春、米盛勧、高橋將人、鶴谷純司、西村令喜、佐藤和彦、木谷哲、上野直人、莚田泰誠、久保充明、藤原康弘、谷川原祐介).

■論説
・雑誌:J Clin Oncol, 2020 Feb 20;38(6):525-528. doi: 10.1200/JCO.19.03119.
・タイトル: Pharmacogenomics and Endocrine Therapy in Breast Cancer(乳がん治療におけるゲノム薬理学と内分泌療法).
・著者:Daniel F. Hayes, James M. Rae.

■国立がん研究センター中央病院プレスリリース
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▼本件に関する問い合わせ先 
 昭和大学先端がん治療研究所(昭和大学旗の台キャンパス内)
 TEL: 03-3784-8145

▼本件リリース元
 学校法人 昭和大学 総務課(広報担当)
 TEL: 03-3784-8059

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March 10, 2020 at 01:15PM
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