2020年度から始まる大学入学共通テストでの英語民間試験の活用や記述式問題導入の見送りを受け、文部科学省は15日、新たな入試制度を考える有識者らの検討会議を始めた。失敗した経緯の検証も行いながら、1年をめどに結論を出す。ただ、18人の委員の考えに隔たりがあるうえ、期間の短さから十分な議論ができるかは不透明だ。
新年度から始まる予定だった入試改革は、昨秋の萩生田光一文科相の「身の丈」発言で政治問題化し、「二枚看板」が瓦解(がかい)した。年末にかけ、大学入学共通テストでの英語民間試験の活用見送りに続き、国語・数学への記述式問題の導入見送りも決まった。
15日の会議は共通テストに加え、各大学の個別試験も含め検討した。①議論は「白紙」の状態から始めるのか②入試改革によって高校教育を変える手法の是非③格差をどう小さくするか④大学入試のどこまでを共通試験に担わせるか――といった点がテーマとなった。
会議の冒頭、萩生田氏は「大学入試で英語4技能を適切に評価することの重要性に変わりはない」「思考力・表現力を問う記述式問題が果たす役割は重要」と発言。導入を見送ったはずの二枚看板を個別試験も含めた入試に盛り込むことを前提に、議論を進ませたい考えをにじませた。
これに対し、末冨芳(かおり)・日本大教授(教育行政学)は「この会議の前提条件は白紙で、原点から議論すると聞いている」と指摘した。座長の三島良直・東京工業大前学長は「けっこうです」と答えたが、吉田晋・日本私立中学高校連合会長が反発した。「(入試改革に対応するために)何年間も費やしてきた。政府が決めたことをゼロにするのか」と訴えた。
吉田氏は、入試改革を高校教育…
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