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グローバル研修から海外大学に進路見つける…成城中 - 読売新聞

 成城中学校・成城高等学校(東京都新宿区)は、栗原卯田子校長が就任した2013年度以来、オリジナルのグローバル教育プログラムを推進してきた。15年度からは台湾やオーストラリアで「グローバルリーダー研修」を実施し、国際人の養成にさらに注力している。初年度の研修を受け、現在は台湾の実践大学に在籍している卒業生の梅澤悠月君が母校を訪問し、栗原校長と成城の教育について語り合った。

 栗原校長(以下、校長) 梅澤君というと、剣道部のミーティングで、部員全員をまとめている姿を思い出します。下級生への指導は厳しかったけれど、いまだ部室に梅澤君のロッカーが残されているくらい、慕われた部長でしたね。

 梅澤 成城に入ったのは剣道部に憧れていたからです。びしびし鍛えられるような厳しいイメージを抱いていたのですが、実際に入学してみて分かったのは、部活や生徒会活動が先生主導ではなく、生徒たちだけで運営されていたことです。良い意味で、思っていたのと全然違っていました。それでも中1で始めた剣道で、卒業までに三段を取れました。中2から高1までは、文化祭のウォーターボーイズに参加したりして、つまらないと思った時間は1秒もないほど充実した学校生活でした。

 校長 中1の臨海学校は、高2の選抜された生徒が補助員として指導に当たるのが本校の伝統ですが、梅澤君は、さらにリーダー役の補助員たちをまとめる役割を担いました。梅澤君のリーダーシップは、入学当初から際立っていました。

 梅澤 僕は小学校の頃から、リーダーになって、自分が立てた目標に向かって、みんなと頑張っていくということが好きだったんです。

 校長 梅澤君でもう一つ印象に残っているのは、高1で参加したオーストラリア・グローバルリーダー研修でホストファミリーに非常にかわいがられ、帰国する時には涙で見送られていたことです。

 梅澤 オーストラリアでの体験で、英語をやりたいと思うようになりました。それまでは、生物が好きだったので、理系の大学に進もうと思っていたのですが、まず英語を究めたいと思うようになりました。

 校長 梅澤君は大学受験に向けた勉強も頑張っていて、国立1校だけを受けたんですよね。

 梅澤 いつか海外に留学したいという希望はありましたが、まずは日本の大学に入ろうと受験したのですが、結果は不合格でした。

 校長 そのまま1年浪人して再チャレンジする道もあるけれど、9月入学の台湾の大学を考えてみてはと、私が提案しました。日本の大学とは違う経験ができるし、欧米の大学に留学するにしても、台湾の大学を経由して行った方がお金がかからないという、システム上のメリットもあるからと。

 梅澤 それを聞いて、新しいことをやるチャンスだと思いました。

 校長 私は、こういう道もあると教えはしたけれど、その先は自分の目で見て考えなさいと言いました。今は、海外大学受験の手続きや勉強法などを、手厚く教えてくれる専門予備校もあるけれど、梅澤君は予備校なしでのトライでした。

 梅澤 台湾にはたくさん大学がありますが、いろいろ考え、授業が全て英語で行われる実践大学の国際ビジネス学科を受験することにしました。台湾の大学の外国人学生対象の入試は、英語で書いたエッセーを送ったり、対面や電話でのインタビューをしたり、といったものです。高校卒業までにどんなことをやってきたか、大学で何をして、卒業後は何をやりたいか、自己アピールをする必要があります。

 校長 台湾だけでなく、海外の大学の多くが、こうした主体性評価での入試方法を取っています。今の日本にもそういう大学、学部が一部あるけれど、将来的にはそれが主流になることになっています。私が台湾の大学を薦める理由の一つは、教育のグローバル化という点で、日本より進んでいるということなんです。

 梅澤 台湾に行って最初に思ったのが、台湾人学生の英語力がすごいな、ということです。でも、台湾人学生に聞くと、中高の英語の授業時間数は、日本と同じです。何が違うかというと、日本の中高の英語は、日本の大学を受験するための英語で、英語の授業も日本語でやるというところなんじゃないでしょうか。

 校長 台湾の英語教育は、4技能を重視した「使う英語」なんですね。これからの社会で生きていくために、英語は重要なツールです。「使う英語」の力を付けるため、これから成城の英語教育を、より実践的なものに変えていこうと考えているところです。

 梅澤 台湾では、英語の授業は英語でやるのが普通だそうです。僕は今、夜間の中国語クラスを取っていますが、そこでは英語は禁止。全て中国語です。

 校長 大学での成績を見せてもらいましたが、素晴らしいですね。梅澤君は、台湾の大学での1年間で、私が思っていた以上に伸びましたね。

 梅澤 自分でも語学は特に、すごく力が付いたと実感しています。外国人向けの学生寮に入っているのですが、寮生の国籍は、中国、アメリカ、メキシコ、コロンビア、ペルー、マレーシアなど10か国くらい。部屋にキッチンがないので、みんなキャンプ用のガスコンロを使って料理したりしています。共通語は英語なので、授業以外でも英語を使うことが多いです。

 最近、大学に日本文化クラブができて、台湾人学生も参加しています。3年生が中心になって、日本語教室やジャパニーズカルチャーを紹介するイベントなどをやっています。日本人が少ない環境にいることで、外国の文化を知ることができ、また、日本好きな外国人に日本文化を教える機会も多いです。その中で、語学力も磨かれていくのを感じます。

 校長 私が着任した当時の成城は、グローバル教育というものが全くない状態でした。なんとかして、成城らしいグローバル教育を始めたいと考える中、まずは自分で海外の学校を見に行くべきだと思い、プライベートでいろいろな国の中高や大学を見に行ったんです。そこで感じたのは、日本に比べ、海外の生徒、学生はポジティブでハングリー、自己肯定感が強い感じがするということです。

 梅澤 日本の大学に通っている友だちと話すと、日本と台湾とでは、大学生活が全然違うと感じます。日本の大学生は、僕から見ると、すごく遊んでいる。勉強は試験前に頑張る、という感じ。台湾では、毎日勉強しないと付いていけません。授業でプレゼンすることが多いので、準備が大変なんです。僕だけじゃなくて、他の学生もポテンシャルが高い。自分がやりたい勉強を、自分で勉強するという学生が多いのだと思います。

 校長 台湾の大学生の方が、目標がはっきりしているのかもしれないですね。

 梅澤 台湾は国が小さく、給与水準も低いので、卒業後は海外で就職したいという学生が多いんです。まだ先のことですが、僕も卒業後は、日本か英語圏のインターナショナルカンパニーでマーケティングをやりたいと思っています。

 校長 男子校の良さは、先輩後輩という縦のつながりが強いところだと思います。梅澤君のような先輩は、今の生徒たちにとって身近なロールモデルになります。

 梅澤 成城での6年間は、男子校ならではのノリがとても良かったと思います。大学に行ったらほとんど共学なのだし、中高の6年間くらいは男子だけの学校生活を味わうのもいいと思います。後輩たちには、学校でやるべきことを、最低限ちゃんとやれと言いたい。中学や高校でサボっていたら、大学に行っても何もできないです。中高時代は、決められた時間内に決められたことをやる。それを続けていけば習慣になります。今、海外の大学にいて、諦めないで続けることが大事だなと感じることが多いです。

 校長 これまで、成城のグローバル研修プログラムを、台湾、オーストラリアで行ってきました。国際社会ではいろいろな問題が起きていますが、だからこそ、海外に出て、現実をしっかり見ることが大事だと思っています。海外に実際に行くことで、日本人として、日本のことを考えるきっかけになるのではないかと期待しています。

 (文・写真:織江理央 一部写真提供:成城中学校・成城高等学校)

 成城中学校・成城高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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