1.はじめに
本シリーズでは、日頃の作業を効率化し、定時で帰宅する方法を紹介しています。主な業務効率化の例は、下記の通りです(詳しくは第154回を参照)。
- スペックの高い機器を導入する
- 使用機器を使いこなす
- ツールを導入する
- 自分でツールを作る
- 働き方を工夫する
今回は、「ツールを導入する」「自分でツールを作る」を取り上げます。ツール導入はいいことが多いように見えますが、意外な課題、問題があり、「地雷」を踏まないことは非常に重要です。今回は、ツール導入にどんな「地雷」があるかチェックします。
2.ツール導入のメリット
業務効率化の有力な方法の一つが、ツール導入です。世の中にはさまざまなツールが存在するため、自分の業務に合致するツールを導入することで業務効率化ができます。例えば、人力で時間がかかる作業があれば、外部ツールを使うことで作業時間の短縮やミスの軽減が期待できるでしょう。
選択肢は外部ツールだけではありません。外部ツールで自社の業務とフィットしない場合は、「自分でツールを作る」「外注にツールを作ってもらう」という選択肢もあるでしょう。この場合は、世界で最も自社に合うツールが作成できるメリットがあります。
ツール導入で、工数削減やミスの軽減というメリットがありますが、導入/運用の際にはさまざまな問題が存在します。以下に、ツールの導入/運用時に生じる可能性のある問題をケーススタディー形式でまとめます。
3.前提とする組織環境
本記事で想定する組織の環境を表1に示します。
項目 | 概要 |
---|---|
スキルレベル | ・PCの基本操作を知っている ・Excel、Word、メールを一通り使用できる |
規模 | 10人程度のチーム |
年齢層 | 若手からシニアまで一定数いる |
表1 想定する組織の環境 |
本記事で対象とする組織は、PC操作がある程度できる年齢層が幅広い10人程度のチームです。なお、IT系組織だけには限定していません※1)。それでは始めましょう。
※1)とは言っても、IT系の組織を前提とすることもあるため、その場合はうまく読み替えてもらう必要があります。
4.ツール導入/運用時の問題点のケーススタディー
4.1 ケース1:使ってもらえない
「このツールはきっと役に立つ」と思いツールを導入したが、ほとんど使用してもらえなかった
筆者は、業務改善を期待してツールを導入したことがあります。しかし、他の担当者には従来の開発プロセスを変更してまで魅力のあるツールとは思ってもらえませんでした。結果、導入したツールをほとんど使用してもらえず、「善意の押し売り」となりました。
せっかくツールを導入しても、使用してもらえなければ意味がありません。例えば、Excelに代わる新しい表計算ツールを導入すると仮定します。この場合、使用者には、慣れ親しんだExcelを捨ててまで使うほどの大きなメリットが必要です。メリットがないと、ツールを導入しても使ってもらえず、導入担当者の善意の押し売り状態になります。
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