学歴差別。ひと昔前に比べれば露骨なものこそ減ってきたとはいえ、なくなったと言うには程遠い状況だ。実際、出身大学のランクでマウンティングしてくる人間は多い。
電子部品メーカーに勤める赤井道哉さん(仮名・42歳)は、30代に入ってから今の会社に転職。最初に配属された部署の上司が学歴で人を見下す人物だったという。
「自分が知らない大学は無能」と見下す上司
「課長は当時40代後半だったんですけど、地元国立大の出身でした。全国の国公立では上位ってわけじゃありませんが、ウチの県では昔も今も偏差値が一番高い大学です。それでも全国的には平均よりはちょっとマシくらいのレベルなのに、上の世代になるほどエリートが行く大学という認識が強かったんです。恐らく、首都圏や関西にある偏差値的に同レベルの私大よりも上だと思っている人は多いでしょうね。課長もまさにそんなタイプでした」
一方、赤井さんの出身大学は、技術系の単科大学。優秀なエンジニアや開発者を数多く輩出する大学として評価されているが、学生の数が少なくうえ、一般の知名度も高いとは言えない。ましてや課長は文系学部の出身で、2人が在籍していたのは営業部。上司に大学名を聞かれ、赤井さんが答えても「本当に大学なの? ちょっと聞いたことがないなぁ」と小馬鹿にしたような態度だったとか。
「忘れもしない入社初日の出来事です(苦笑)。コイツ(課長)は敵だと理解できましたが、こっちも簡単に辞めることはできません。ただ、こんな失礼な人ですからパワハラをしてくることは容易に想像できました。おかげでそれに備えることはできたと思います」
自身が働く本社には50人程度の社員がいたが、東大や早慶といった超難関大の出身者は皆無。ただし、地元国立大を出ている社員は7人ほどいて、課長より役職が上の専務や部長などもいたそうだ。
同僚との協力関係を築いてパワハラに屈せず
「ただし、歪んだエリート意識を持っていたのは課長くらいで、ほかの方はそういうこだわりはないように感じました。特に専務は最終選考の面接官だった方で、出身大だけでなく業界大手の電子部本メーカーの技術部門で働いていたことも高く評価していただきました。だから、課長のことについてすぐ相談すればよかったのかもしれませんが、安易に人に頼って印象を悪くしたくなかったんです。そもそも会社側は技術部門に配属させようと考えていましたが、今後のためにも短い期間でもいいからほかの業務を経験したいと頼んで営業部に配属させてもらったので」
小さな会社とはいえ、配属先の希望を叶えてくれることからも上層部から期待されていた人材であったことがわかる。
それでも現場で特別扱いされることはなく、課長のパワハラから身を守る必要はあった。
「課長自身がやるべき仕事も日常的におしつけられましたけど、私も早く仕事を覚えたかったですし、そこはあまり辛いとは感じませんでした。それに同僚の方と積極的にコミュニケーションを取ってアドバイスをもらうだけでなく、手が空いたら積極的にヘルプに入っていたので、こちらが忙しいときは逆に手伝ってくれました」
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