2月26日にNHK BSプレミアムで放送されたドラマ『シューカツ屋』は福井大学のキャリア支援課がモデルになっており、ロケも同大学の文京キャンパスで行われた。
私が2012年に取材執筆した『福井大学はなぜ就職に強いのか』(財界展望新社)の当時は就職支援室と呼ばれており、福井大は複数の学部を擁する国立大学では4年連続で就職率トップだった。19年度の実質就職率でも、卒業者数1000人以上の大学で全国5位、国立では1位である(大学通信19年度調査)。
この実質就職率とは、官庁などの調査の就職率の算式が就職者/就職希望者なのに対し、就職者/卒業者(大学院など進学者を除く)で算出するものだ。大学間の就職率の比較では、就職希望者という調査時点で変化する曖昧な数字でなく、分母の実数が明確な実質就職率のほうが客観的だからである。
実質就職率の上位は、金沢工業大学や愛知工業大学、大阪工業大学など、比較的大きな工業系私立大学が多い。地元企業の求人意欲が高いからであろう。また、工学系はどの大学でも大学院進学率が比較的高く、学部の就活で理想通りの就職ができなければ大学院に進学する学生も少なくない。すると、大学院進学者にカウントされ、分母が減り、実質就職率は上がる。
福井大は、4年前までは医・工・教育地域の3学部で教育地域学部も教員養成主体で教員免許取得の課程があった。ところが、16年に、その教育地域学部のゼロ免課程(教員免許取得を主な目的としない課程)をメインに受け継ぐ形で国際地域学部を新設した。20年に初めて輩出される卒業生は、まだ確定した数字ではないが、ほぼ100%の実質就職率だという。医学部も国家試験の合格率が100%となり、絶好調のようだ。文理にわたる複数学部を擁する大学としては、20年度も全国トップクラスになりそうだ。
最後まで面倒を見る「シューカツ屋」の強み
就職が好調な背景には、テレビドラマで紹介された共感力のある担当者の活躍があった。在学中はキャリア支援課になかなか顔を見せず、卒業前の土壇場になって駆け込んでくる学生は今でも多い。7年前にも、当時の青山傳治就職支援室長は苦笑しながら本人の希望を聞き、彼にフィットする企業はないか、リサーチしていた。
ほとんどの企業は、すでに次年度卒業の求人活動に入っている。同大学では企業説明会を頻繁に開き、青山さんは採用企業へのあいさつめぐりをしており、その企業がどのような人材をほしがっているか、よく知っている。そこで、候補と思われる企業の社長や採用担当者に連絡すると、ときには「すぐに面接をするから、明日連れてきてくれ」と言われる。ところが、そのような学生のほとんどは、今までまともに面接対策に取り組んでいない。
翌日、青山さんはリクリートスーツの彼を車に乗せて、面接のポイントを車中で模擬面接しながら、採用会場に向かう。1時間弱の短時間であるが、密度の高い特訓となり、けっこうよい結果を生むことが多い。このような経験は毎年のようにあるという。
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April 20, 2020 at 04:17AM
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