新聞記者として30年以上働いたあと、縁あって今年春、関西学院大学に移ってきました。合わせて10年ほど駐在したアメリカの政治や社会の動向を中心に研究しています。
最大の関心事はトランプ大統領を選んだアメリカが今後どんな道を歩んでいくのかという点です。
「トランプの言いなりになっている共和党に愛想が尽きた。党員だったけれどももうやめる」「次の選挙でトランプが負けることをただ願っている」
今年の夏に訪れた首都ワシントンでは旧知の政策専門家たちからこんな声を聞きました。
温暖化ガスの削減をめざすパリ協定をはじめ、さまざまな国際的な取り決めから勝手に撤退する。口汚く野党の政治家やメディアを批判したり、移民を厄介者扱いしたりする。そんな大統領らしくない言動が一段と目立つトランプ氏を嫌う人はワシントンでは多数派といってもいいでしょう。
それでもトランプ氏が地方に行って演説集会を開くと必ず熱狂的なファンが集まります。記者時代に、トランプ支持者が多かった地域の新聞社(オハイオ州)の編集長に「なぜなのか」と質問したことがあります。「気取らずに本音を話すからだ」という答えでした。国際的な取り決めや移民の人権を重視し、きれい事ばかり言うエリート政治家とは違い、地方に住む普通の労働者の気持ちを大事にする人物と受け止められているということでした。
日本もそうですが、アメリカでは大都市部と地方との格差が目立ってきました。安定した製造業の仕事がなくなり、暮らし向きは景気が良くなってもなかなか改善しません。実はアメリカはこのところ先進国の中で例外的に平均寿命が低下している国です。その背景には地方で働く場が減り、疎外感を味わう中で薬物中毒に陥ったり、自殺したりする人の数が増えたことがあるともいわれています。
トランプ大統領がそうした人たちの救世主になれるとは思えません。しかし、こうした問題に政党や政治家が正面から向き合い、答えを出していかない限り、人々の不安や不満は消えません。過激な言動で大衆にアピールしようとする政治家に支持が集まる「トランプ現象」はトランプ氏が政治の場から去っても続く可能性があります。
取り残された地域や人々を支える政策を打ち出そうという動きは党派を超えて少しずつ出始めてはいます。そうした政策が実現し、効果を発揮するのかどうか。アメリカの民主主義の力強さが試されているといえるでしょう。
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December 08, 2019 at 03:30AM
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<関学研究室から~神戸三田キャンパス>米国 試される民主主義の力 総合政策学部・実哲也教授 - 神戸新聞
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